『俳諧歌仙順序手引』(芭蕉堂刊)
以下、諸形式を参考までに簡略に記します。古くは両吟千句や矢数俳諧と称する万句を超えるものも行われました。
1. 百韻 四折 百句 四花七月
初の折 表八句 (七句目月) 裏十四句 (九句目月、十三句目花)
二の折 表十四句 (月) 裏十四句 (月、十三句目花)
三の折 表十四句 (月) 裏十四句 (月、十三句目花)
名残の折 表十四句 (十三句目月) 裏 八句 (七句目花)
昔は百韻を五巻揃える五百韻や十巻のも行われました。
2. 八十八興 四折 八十八句 四花七月
表八句(七句目月) 裏十二句(七句目月、十一句目花)
二の表十二句(十一句目月) 二の裏十二句(七句目月、十一句目花)
三の表十二句(十一句目月) 三の裏十二句(七句目月、十一句目花)
名残の表十二句(十一句目月) 名残の裏八句(七句目花)
3. 七十二候 三折 七十二句 三花五月
百韻のうち三の折を除いたもの
4. 易(えき) 三折 六十四句 三花五月
八十八興より三の折を除いたもの
5. 源氏 三折 六十句 三花五月
表六句(五句目月) 裏十二句(七句目月、十一句目花)
二の表十二句(十一句目月) 二の裏十二句(七句目月、十一句目花)
名残の表十二句(十一句目月) 名残の裏六句(五句目花)
6. 五十韻 二折 五十句 二花四月
百韻の初折と二の折を合わせたもの
7. 長歌行 二折 四十八句 二花三月
表八句(七句目月) 裏十六句(九句目月、十五句目花)
名残の表十六句(十五句目月) 名残の裏八句(七句目花)
8. 世吉(よよし) 二折 四十四句 二花三月
百韻の初折と名残の折を合わせたもの
9. 二十八宿 二折 二十八句 二花二月
表六句(五句目月) 裏八句(七句目花)
名残の表八句(七句目月) 名残の裏六句(五句目花)
10. 短歌行 二折 二十四句 二花二月
表四句 裏八句(裏移り一句目に月、七句目花)
名残の表八句(七句目月) 名残の裏四句(三句目花)
11. 箙(二十四節) 二折 二十四句 二花二月
表六句(五句目月) 裏六句(五句目花)
名残の表六句(五句目月) 名残の裏六句(五句目花)
12. 二十韻 二折 二十句 一花二月
表四句 裏十句
名残の表六句 名残の裏四句
「猫蓑」の東明雅創案。
13. 十八公 一折 十八句 一花一月
表十句(九句目月) 裏八句(七句目花)
14. 半歌仙 一折 十八句 一花二月
表六句(五句目月) 裏十二句(八句目あたり月、十一句目花)
15. 首尾吟 一折 十六句 一花一月
表八句(七句目月) 裏八句(七句目花)
16. 歌仙首尾 一折 十二句 一花一月
表六句(五句目月) 裏六句(五句目花)
17. 表白 (十四句〜十二句)懐紙の初折の裏ばかり
18. 裏白 (八句〜六句) 懐紙の初折の表ばかり
19. 表合(おもてあわせ)
百韻(八句)・歌仙(六句)の中に、表に嫌うものも詠みこみ一巻の変化をはかるもの。
20. 三つ物 (三句)
発句・脇・第三句の三句をいう。江戸時代から歳旦の祝詞として詠む習わしが生じ、明暦(一六五五~五七)ごろから大流行となり、歳旦開きという行事までもが行われた。三句のうち、月・花また神祇・釈経・恋など何を詠んでもよい。
昭和四十年代ごろから、連句復興の兆しが現れると、さまざまな新しい形体の模索が行われました。その主なものを列挙します。
・胡蝶 二十四句 一花二月
表六句(五句目月)
中十二句(十一句目月)
裏六句(五句目花)
うちこし、去り難いなど、できるだけゆるやかに、現代人の俳句を。林空花創案。
・蜉蝣(かげろう) 二十八句 二花二月
表六句(五句目月) 初折表(3・3)
裏八句(七句目花) 初折裏(4・4)
名残の表八句(七句目月) 名残表(4・4)
名残の裏六句(五句目花) 名残裏(3・3)
ダブルソネット。二十八宿とほぼ同じ。札幌「俳諧寺芭蕉舎」の窪田薫創案。
・ソネット 十四句 一花一月
ソネット(十四行詩)の行数を4・4・3・3の4章に分け、各章にそれぞれの季を入れる。「杏花」の珍田弥一創案。
・存風連句
二十一句仕立ての三部構成、月花季にこだわらず懐紙形式を外し、提示部四句、展開部十二句、終結部五句、挙句にもう一句短句を重ねる。「存」村井和一創案。
・居待 十八句 一花一月
表裏なし。月五句目。花十七句目。 居待の月のかわりに雪またはほととぎすを入れたものを「出花」という。「連句かつらぎ」岡本春人創案。
・十二調 十二句 一花一月(花はどの季の花でも可)
季の句六句、雑の句六句。挙句が雑でも可。岡本春人創案。
・十八韻
表六句(五句目月) 中六句(五句目月または雪等) 「あした連句会」宇咲冬男創案。
以上は古典的な基本形体の「百韻」や「歌仙」を現代風に工夫した新形式。ここに挙げ切れない程他にもあります。 |