令和6年第37回連句フェスタ宗祇水
第37回連句フェスタ宗祇水は岐阜県郡上八幡にて7月21日(日)に開催された。
当日の朝、参加者は市内本町の宗祇水に参集し発句三句を奉納した。
再会の下駄の響きや梅雨明ける 小池 正博
水清(すが)し祭囃しのひびきをり 靜 寿美子
清らなる噴井伝授は連綿と 林 転石
宗祇水は郡上八幡市内を流れる吉田川の傍らに滾々とわきでる湧水を由来とし、さらにその水の流れを水源・飲み水・冷やし場・洗い場とそれぞれに区分し市民のための用水となっている。川風に吹かれて周囲を一望すればしばし暑さも忘れる事ができる。
市内北東にある郡上八幡城はかっての寛文時代のものを模して1933年に再現された木造四層五階の天守と櫓、石垣からなる城郭である。天守からは北の白川郷、東の飛騨髙山、南西の木曽、南の岐阜に向かう街道を見渡せる。案内によればこの地郡上は往時、下野から戦乱を逃れてきた東氏の支配するところとなっており歌人東常縁もその氏族である。文明3年宗祇は古今伝授を常縁から授けられこの地を訪れた。古今伝授の始まりと云われている。
大会当日、郡上八幡まちなみ交流館において参加二十五名が三座に分かれて歌仙興行を行った。この歌仙には日置郡上八幡前市長と山川現市長から花の句を頂戴していた。三座大いに盛り上がり、賑やかな会話のうちにそれぞれ歌仙を巻きあげた。夕刻、作品を携え宗祇水に参り三巻を朗詠した。この作品三巻は奉納板に浄書され8月20日宗祇水において奉納の儀が行われ、その後市内に展示されることとなる。
頂戴した連句フェスタ宗祇水実行委員会になる作品集「緑湧抄Ⅱ」には平成9年から平成21年までの奉納歌仙が掲載され、この会の歴史をうかがえる。作者には懐かしい方の名前もあり感慨深い。本会が今後とも盛況に開催されることを期待するところである。
報告:林 転石