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前便、書きかけの途中で資料を読み出し2時間ほどほっておいたら勝手に「送信」されていました。こういうことあるのですね。書き直して再掲します。
■⑧歌仙「夜目遠目」ナオ6治定
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歌仙「夜目遠目」 2018.9.27 起首
夜目遠目笠に添へたる月の雨 雀羅 月・秋
誰が袖仄と野菊竜胆 桃
行く秋をワンコニャンコの動画見て 富士
新型AIBO好奇心持ち 和嘉子
窓叩く音は嵐の予感とか 小波
囲炉裏に集ひ寮歌高唱 嘉
ウ
年賀状これで最後とまたも書き 麦子
名残の色をみせる口紅 桃
あかときの枝折戸に梳く乱れ髪 富
硯の水に明日を占う すいか
オッズ出す賭け屋ノーベル平和賞 桃
のめり込むにはそれなりの理由(わけ) 小石
今世紀神の気まぐれ許すのみ かめけん
たしかに見えし南北の虹 羅
夏の野を月の兎は駆け抜ける 波
ドラゴン・クェストオーケストラで 桃
身を解けばこころ自在に花の風 嘉
鞦韆漕ぎて空へ近づく 富
ナオ
ひとしずく春の雪にもブランデー 桃
つひの栖は鄙のその奥 富
捨てられぬ名刺もいつか断捨離に 嘉
蚤の市には髭も鬘も か
縫ひ上げて着て行く当てのなき浴衣 富
嫌いだなんて嘘をつく月 麦
○原句「嫌いだなんて嘘ついた月」→「嫌いだなんて嘘をつく月」とすると「投げ込みの月」がはっきりします。「投げ込みの月」という言い方は江戸時代からあり、髙井几董は「助字の月」と言っています(『附合てびき蔓』)。
鴈がねもしづかに聞(きけ)がからびずや 越人
酒しゐ(ひ)ならふこの比(ごろ)の月 芭蕉
(『阿羅野』の「鴈がね」の巻)
といった月の詠み方で、約束で詠んでいる月というほどの意味ですが、几董が「あながち助字のみにもあらず」と言っているのは、月の詠み方としての技術を認めてます。
こういうのを引用したことで、横道にそれたので“勝手に発信”の原因でしたが、「酒しゐ(ひ)ならふこの比(ごろ)の月」とはどういう意味でしょう。『芭蕉連句全解』(伊藤正雄)、『芭蕉七部集』(白石悌三・上野洋三)では、それぞれ「わが草庵の客に酒を勧めることもおのづから習はしとなった」、「この頃の美しい月を前にして、とかく来客の皆さんに酒をすすめることが多くなりました」と解していますが、釈然としません。「献酬」の場面として間違いではないですが、「しいならう」のニュアンスには、付き合い酒もこなせるようになった亭主芭蕉の心持ちがもう少し加味されなければうわすべり(きれいごと)な感じします。
「嫌いだなんて嘘をつく月」、おもしろいですが、「きれいだなんて嘘をつく月」なんてバリエーションも出来ますね。
秋に季移りしてしまったのも結構です。
秋の長句をどうぞ。