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■⑩歌仙「春立つや」ナオ3治定 2019.2.4 起首
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春立つや先づ拾ひ食ふ昨夜(きぞ)の豆 雀羅
雀の混じる淡雪の庭 小波
若駒の和毛に遊ぶ風の出て 安庵
もよう替えする姉を手伝う 小石
いざよいに帰宅の刻を促され 鈴代
新酒の酔いも加減宜しく 和嘉子
ウ
秋蝶は追われ五浦の海に消ゆ 庵
寵愛を捨て美声持つ夢 麦子
マエストロの赤い靴下まなうらに うに
くさい葉巻を厭ふ家政婦 羅
雨期となるカリブに浮かぶ島の旗 嘉
ネット切断ラジオ頼りに に
もち搗きの音をかなたの日曜日 羅
頭蓋骨から顔を復元 石
バルテュスの描く少女を笑う猫 庵
テニスコートに春月の出て 嘉
駆け引きは花の中なる蚤の市 に
しゃぼん玉来る峰打ちをする 羅
ナオ
ケバブ削ぐ刃物を研いでいるおとと に
同じ名前の墓多き村 庵
音曲のたけなわとなり秋祭 嘉
○うまく気分を引き揚げて頂きました。「 鰻喰ふ行列長き三島宿」、三島の鰻は美味しいですね(^^) ただこの句、具体的な地名を出しますと、このあたりは同姓が多いのか・・といったことも出て来て、捌きには判定しにくいところです。
「秋祭」と秋にすると必ず近くで月を詠むことになり、「月は五句去大丈夫?」とふり返る必要ありますが、ナオ5で詠めば前の月から6句去ることなってOKですね(間に入る句の数が「去」です)。前が短句の月ですので今度は長句の月、といったラフスケッチしながら進行します。といって。なるべく「一巻をこんなイメージで展開させよう」という構想は持たないようにします。仮に持ったとしても役には立たず、文字通り連句は「海図を持たぬ航海」です。
今ふりかえって、月の句は「テニスコートに春月の出て」で、発句に「春立つや」があって「春月」と「春」の字あります。発句の同字は一巻に再出させないという考え方もありますが、これは各結社の嗜好・美学ということで尊重されることではあっても連句の式目ではありませんので、ここではそれにとらわれないで進めています。もっとも、「挙句は発句と同字せぬ」(『俳諧無言抄』)、「同字を表に嫌う」(『三冊子』)ということはありますので、この辺りは意識するようにしています。
そうですね、カレンダーを見ると今日は二十四節気の「雨水」、そして七十二候では「獺祭魚(かわおそ魚を祭る)」に入ります。獺は獲った魚をすぐには食べず岸に並べるので、それを獺が先祖を祭っているのだという俗信がうまれ、又詩文を作るのに多くの多くの参考書を左右に拡げるのを「獺祭(だっさい)」とも言います。正岡子規は自分の資料散乱の部屋の様子から「獺祭書屋主人(だっさいしょくしゅじん)」と号しました。
江戸時代の『滑稽雑段』という重宝な歳時記に、「獺祭魚」の項、「或人云、ひんがしの国の者は、そら言をばをそ言といふ也」とあります。獺の話、江戸時代の人もどこからどこまでが本当か、と眉につばして聞いてたということですね。「をそ言」(おそごと)、一つ覚えていただきました(^^)
ではお次をどうぞ。秋の短句です。