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#46098
雀羅
ゲスト

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百韻「日月は」         2019.4.16 起首

日月は旅人なりぬ花に雪            雀羅 花・春
 雀の子らの集う軒先              古柏
春の朝川柳欄を食卓に             不映
 上司と似た名いつも見つける          芳
潮の香の導く先に海と空            村宅
 丸太くり抜き翌(あす)に漕ぎ出す      安庵
謫仙は飛鏡に杯を傾けて             あさ 月・秋
 萩散る庵に残る足跡              優

銀杏と君のしているイヤリング        五帳面
 皿洗いつゝ下の名で呼ぶ            さ
愛の巣に磯の匂いの満ちる朝           羅
 あの石巻に似たる青空            竜馬
転生を信じて崖に夏花(げばな)つみ       さ  三夏
  みそっ歯の児の笑顔満開          小石
外つ国の言語行き交う先斗町           宅
 脱出ゲーム知恵を出しあい           芳
包帯がしだいにほどけ大股に         ゆかり
  ニッカボッカのキタにはためく         さ
いっぷくに背ナを丸める暮の月           芳  月・冬
  足らぬ食材思うまなざし          うに
菓子工場跡地の草のかぐわしき          さ
 こちにかしらを上げる老犬           柏
二オ
公園に似顔絵画きの春火桶            庵
 明確にせぬ恋の行方は            宅
会いたいと思う気持ちがくやしくて       芳
 着信通知見てはため息            香
腰折れの気配は仮想通貨にも          羅 
 タラップ降りる頬に秋風           に
カンナ咲く故郷へ向かふ定期船         映
  良夜を破るロックンロール           々 月・秋
花道の先にかすんでいる希林          羅 花・春 
  新入生の列を見守り            芳
目借時竿竹売りのこえとおく          さ
  あめのしづくのもぢとなりける        五
足元の大きな鼠おいはらい            芳
  遅しといひてアミダ振向く 庵
二ウ
かゞやける沖に傾きヨットの帆         さ
  生れし浦磯出でぬわれから           に
君とゆく観月橋に蝉の声             五 月・秋
 転びたる妹(いも)負うて花野へ        庵
すさまじき指ロザリオの珠を繰り        さ
 足に履かせる古いそろばん          芳
駆け出して丘を走って未来へと         五
 カスタネットがいやだった頃         雀
受付のPepperくんが指す夕立         さ
 俺は塩顔うん多分そう            五
旧友と記念撮影桜島          海老まよねーず
  よくろんぼとか示現流とか          羅
飛行する頭の下に春の雷            芳

○「よくろんぼ」も「示現流」も前句「桜島」に触発されたさつまネタです。ネットで引けばすぐ見当付きます。知識やイメージを拡げるのに使えるものは何でも使いましょう。芳さあ、飛行機はおそろっせえ乗いもはんど(^^;) あんまりやると正調薩摩弁の同郷人から注意きそうですから「はらぐれ(冗談)」もこいぐらいにな。

「鶯合ウグイス嬢の飛び入りぞ  あさ」、音調がずいぶん佶屈ですが、「示現流」の無骨に感応させましたね。あささん、「川柳と連句をつなぐぶっとい根っこの話」、両方の実作に身をおくと実感的に迫ってきます。かつて読んだ「川柳は連句の平句の精神を実践するものである」という前田雀郎の慧眼に打たれ、以来連句と川柳を往き来する私のパスポートです。

「グーグルの世界縦横春の宿 武者」、「花」の定座ですがここでは「花」は詠まないということでちょっと混乱があり失礼しました。連句は俳句の写生にとらわれない描写のレベルを昇降しますが、とは言え写実(具象)は強いです。どちらかと言うと引いて詠む(論評)のタイプの付けです。

春の短句どうぞ。