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#46590
雀羅
ゲスト

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百韻「日月は」         2019.4.16 起首

日月は旅人なりぬ花に雪            雀羅 花・春
 雀の子らの集う軒先              古柏
春の朝川柳欄を食卓に             不映
 上司と似た名いつも見つける          芳
潮の香の導く先に海と空            村宅
 丸太くり抜き翌(あす)に漕ぎ出す      安庵
謫仙は飛鏡に杯を傾けて             あさ 月・秋
 萩散る庵に残る足跡              優

銀杏と君のしているイヤリング        五帳面
 皿洗いつゝ下の名で呼ぶ            さ
愛の巣に磯の匂いの満ちる朝           羅
 あの石巻に似たる青空            竜馬
転生を信じて崖に夏花(げばな)つみ       さ  三夏
  みそっ歯の児の笑顔満開          小石
外つ国の言語行き交う先斗町           宅
 脱出ゲーム知恵を出しあい           芳
包帯がしだいにほどけ大股に         ゆかり
  ニッカボッカのキタにはためく         さ
いっぷくに背ナを丸める暮の月           芳  月・冬
  足らぬ食材思うまなざし          うに
菓子工場跡地の草のかぐわしき          さ
 こちにかしらを上げる老犬           柏
二オ
公園に似顔絵画きの春火桶            庵
 揺れるぶらんこ恋の行方は          宅
会いたいと思う気持ちがくやしくて       芳
 着信通知見てはため息            香
腰折れの気配は仮想通貨にも          羅 
 タラップ降りる頬に秋風           に
カンナ咲く故郷へ向かふ定期船         映
  良夜を破るロックンロール           々 月・秋
花道の先にかすんでいる希林          羅 花・春 
  新入生の列を見守り            芳
目借時竿竹売りのこえとおく          さ
  あめのしづくのもぢとなりける        五
足元の大きな鼠おいはらい            芳
  遅しといひてアミダ振向く 庵
二ウ
かゞやける沖に傾きヨットの帆         さ
  生れし浦磯出でぬわれから           に
君とゆく観月橋に蝉の声             五 月・秋
 転びたる妹(いも)負うて花野へ        庵
すさまじき指ロザリオの珠を繰り        さ
 足に履かせる古いそろばん          芳
駆け出して丘を走って未来へと         五
 カスタネットがいやだった頃         雀
受付のPepperくんが指す夕立         さ
 俺は塩顔うん多分そう            五
旧友と記念撮影桜島          海老まよねーず
  よくろんぼとか示現流とか          羅
飛行する頭の下に春の雷            芳
 ビニールハウス種蒔きを終え       原つぱ
三オ
乳清に立てるさゞなみ夏近し          さ
 コンソメスープ音をたてずに         芳
肉球と混凝土(コンクリート)の生乾き     ぱ
  監視カメラに残る映像            芳
出所して差入れの襟巻き巻きぬ         さ
  まなび直しの夜間中学            羅 
理科室の人体模型くたびれる          庵
 フラスココーヒーおとす冬の日        に
雪焼の目元のしわの白々と            さ
 国旗掲げてウイニングラン         芳
晴れやかに十二単の裾持ちて          庵
 瓶のぞきてふ色に親しき          香
喧騒を離れて在りし堀の月          宅 月・秋
 帰燕の糞に水輪ひろごる          さ
三ウ
UFOの飛来を受ける稲の波           芳
 母の形見の糠床を分け           宅
しゃんしゃんと鈴つけ馬に揺られゆく       庵
 下戸と上戸を足して二で割る         羅 
テンポ良いボケつっこみに大笑い        芳
  グリコの看板いつも夏シャツ       麦子
内股に彫りし名まえがぷるぷるで       庵
 身請けの金をやっと手にして        芳
熊手掻き恋の落ち葉を集めては        五
 色のおちつく木守の月           羅 月・冬
綻びのカーディガンからでる嚏        石
 もぎりの仕事スカラ座に得る        に
はなびらの貼りつく傘のしづく切り      同
  蛙の付箋厚いゲラにも           さ
ナオ
娘との約束をした野遊びに          芳
 唐揚げマヨのおむすびが好き        香
知命てふ文字書いてゐるひきこもり      羅
 猫ぬくぬくと眠る傍ら           宅

○自他場を言うことで付けを萎縮させてしまうあやうさを思います。それも付合いに有益な視点ではあるけれど、そればかり見ているわけではないということ、ここでは感じて頂きたいところです。大胆に、いきいきと、しんみりと、前句に自在に関わって“遊んで”いただけることをひたすら思います。こまかいところは捌きの利点を生かしととのえさせて頂きます。それにしても 村宅さんは宵っ張りですね(^^)

猫が出ましたね。つい採ってしまう私ですが、前の「肉球」も猫? 猫は一巻に何回出していいのだろうか・・と秘かに案じます。連歌の式目では、動物(うごきもの)は「一座一句」ものととして「鴬、郭公、蛍、虎・・」といったものが入っています。虎は百韻に1回、です。猫には「猫は家庭で飼える虎である・・」という“定義”があり、ふむ、そうすると猫も百韻に1回か・となりますが、「肉球」と躱せば2回やってもいいかとか、こういうことを大まじめに論じ合えるところも連句文芸のあそびであり楽しさと感じていただければと思います。

うにさん、「其場の付」というのは、前句の「其人」の付けか他の人と向かわせたものかは別に、前句の場面を見定めて付けるということですが、自の句ではなく他の句にすることで人物描写がくっくきりして分かり易くなってかと思います。この辺りは『十七季』(三省堂)のp560の「七名八体」を読みますとよく整理出来ます。

「自他場論」で付句の変化を説明していくとこんな調子になりますが、連句にまっさらに向き合いたい人にこんな書き方は苦痛かも知れない・・とふと思います。とは言え、新しい世界にチャレンジする方には、業界タームをちょっとは辛抱して乗り越える気持ちも必要かとも思います。辛抱がよろこびに変わるように、というのが連句せんだつの苦心でもあります。

ではどうぞ。