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#46725
雀羅
ゲスト

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百韻「日月は」         2019.4.16 起首

日月は旅人なりぬ花に雪            雀羅 花・春
 雀の子らの集う軒先              古柏
春の朝川柳欄を食卓に             不映
 上司と似た名いつも見つける          芳
潮の香の導く先に海と空            村宅
 丸太くり抜き翌(あす)に漕ぎ出す      安庵
謫仙は飛鏡に杯を傾けて             あさ 月・秋
 萩散る庵に残る足跡              優

銀杏と君のしているイヤリング        五帳面
 皿洗いつゝ下の名で呼ぶ            さ
愛の巣に磯の匂いの満ちる朝           羅
 あの石巻に似たる青空            竜馬
転生を信じて崖に夏花(げばな)つみ       さ  三夏
  みそっ歯の児の笑顔満開          小石
外つ国の言語行き交う先斗町           宅
 脱出ゲーム知恵を出しあい           芳
包帯がしだいにほどけ大股に         ゆかり
  ニッカボッカのキタにはためく         さ
いっぷくに背ナを丸める暮の月           芳  月・冬
  足らぬ食材思うまなざし          うに
菓子工場跡地の草のかぐわしき          さ
 こちにかしらを上げる老犬           柏
二オ
公園に似顔絵画きの春火桶            庵
 揺れるぶらんこ恋の行方は          宅
会いたいと思う気持ちがくやしくて       芳
 着信通知見てはため息            香
腰折れの気配は仮想通貨にも          羅 
 タラップ降りる頬に秋風           に
カンナ咲く故郷へ向かふ定期船         映
  良夜を破るロックンロール           々 月・秋
花道の先にかすんでいる希林          羅 花・春 
  新入生の列を見守り            芳
目借時竿竹売りのこえとおく          さ
  あめのしづくのもぢとなりける        五
足元の大きな鼠おいはらい            芳
  遅しといひてアミダ振向く 庵
二ウ
かゞやける沖に傾きヨットの帆         さ
  生れし浦磯出でぬわれから           に
君とゆく観月橋に蝉の声             五 月・秋
 転びたる妹(いも)負うて花野へ        庵
すさまじき指ロザリオの珠を繰り        さ
 足に履かせる古いそろばん          芳
駆け出して丘を走って未来へと         五
 カスタネットがいやだった頃         雀
受付のPepperくんが指す夕立         さ
 俺は塩顔うん多分そう            五
旧友と記念撮影桜島          海老まよねーず
  よくろんぼとか示現流とか          羅
飛行する頭の下に春の雷            芳
 ビニールハウス種蒔きを終え       原つぱ
三オ
乳清に立てるさゞなみ夏近し          さ
 コンソメスープ音をたてずに         芳
肉球と混凝土(コンクリート)の生乾き     ぱ
  監視カメラに残る映像            芳
出所して差入れの襟巻き巻きぬ         さ
  まなび直しの夜間中学            羅 
理科室の人体模型くたびれる          庵
 フラスココーヒーおとす冬の日        に
雪焼の目元のしわの白々と            さ
 国旗掲げてウイニングラン         芳
晴れやかに十二単の裾持ちて          庵
 瓶のぞきてふ色に親しき          香
喧騒を離れて在りし堀の月          宅 月・秋
 帰燕の糞に水輪ひろごる          さ
三ウ
UFOの飛来を受ける稲の波           芳
 母の形見の糠床を分け           宅
しゃんしゃんと鈴つけ馬に揺られゆく       庵
 下戸と上戸を足して二で割る         羅 
テンポ良いボケつっこみに大笑い        芳
  グリコの看板いつも夏シャツ       麦子
内股に彫りし名まえがぷるぷるで       庵
 身請けの金をやっと手にして        芳
熊手掻き恋の落ち葉を集めては        五
 色のおちつく木守の月           羅 月・冬
綻びのカーディガンからでる嚏        石
 もぎりの仕事スカラ座に得る        に
はなびらの貼りつく傘のしづく切り      同 花・春
  蛙の付箋厚いゲラにも           さ
ナオ
娘との約束をした野遊びに          芳
 唐揚げマヨのおむすびが好き        香
知命てふ文字書いてゐるひきこもり      羅
 猫ぬくぬくと眠る傍ら           宅
薄明に芭蕉の巻葉とけそめて         さ
 バイクの音の近付いて来る         に
起きよとて地団駄踏んでいる兎        五
 フラメンコならちょっと自信が       に
常連の客が投げこむ赤い薔薇          庵

○「フラメンコ」ー「赤い薔薇」と付け筋の見えやすい句、物付も、読み手が疲れないという利点があります。芭蕉の匂い付け(余情付け)が開発されて物付・心付が淘汰されたというわけではありませんから、色々な付け方を適宜・臨機応変に使い分けていきたいと思います。

「絶唱し掃除機かける老婦人 芳」、凄い景色です。「絶唱し」と打越の「地団駄踏んで」の騒がしい感じ、戻りますね。

「引退の棋士が涙で語るもの 黒兎」、離れた感じしますが、「涙で語るもの」はフラメンコの演じる物語世界に通うものはありますね。黒兎さん、三日前、鳥取県の白兎海岸と白兎神社に参ってきました。白兎がわにざめの背中を渡ったという「おきの島」見ました。案外に近いところでした。よろしくお願いします。

「ひるがへし舞ひ夢をとめ風に酔ひ 五」、いいですね。一句としてもっと優美な調え方はないのかとか、連句はそういうことばかりじゃないです。一昨日岡山で連句の最中に、付くことが大切で、優美な一句、わたしの句、だけにこだわるのはよろしくないとお話し、ふっと心敬の言葉「前句のこころの通わざればただむなしき人のいつくしくそうぞきて並びいたるなるべし」(綺麗なだだけで前句に付かない句が続くのは死美人が並んでいるようなものだ)を思い出し言ってみましたら、「ゲ」と思われた方もあったかと思います(^^) 要するにそういうことですね。いいですねというのは、「フラメンコならちょっと自信が」という前句に「ひるがへし舞ひ夢をとめ風に酔ひ」は軽々しい感じがよく釣り合っている、ということです。

では夏でどうぞ。やはり恋句でしょうね。