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■頂きました発句、拝見します。
①結葉の触れて離れて風笑ふ 桃太郎
②風鈴を猫の見てゐる夕かな 〃
③夕星や乾きて軽き小判草 〃
④卒婚を決めかねている梅雨の雷 安庵
⑤我が鉾と法被を纏ひ鉾の辻 閑坐
⑥梅雨明けに耳飾り付け鉾の辻 〃
⑦板垣にやっさもっさの梅雨きのこ うに
⑧まれびとの沓を揃へん虹二重 〃
⑨七百余の枇杷が採れたと嫁の来る しをん
⑩梅雨寒や躊躇ひがちにインタホン 〃
⑪底紅の雨後の雫や全宇宙 〃
⑫山鉾やゴブラン織の女神達 安庵
⑬水彩の色と戯れ明易し 芳
⑭貸し切りのバス賑かに青時雨 〃
①「結葉」は「むすびば」と読み、葉が重なって結ばれたようになること。風の戯れにマッチする句材。
②もののあはれを解する猫さんのようです。語順を変え「風鈴を見てゐる猫の夕かな」とすると、半ば迄は人の眼差しで、最後で猫の視線に転調し、軽く意表を突く形になります。 」
③「夕星」は「ゆうづつ」と読ませるとはっきり「宵の明星」になりますね。「乾きて軽き」は同義反復ですので、「夕星や乾きて風の小判草」でいいのではないでしょうか。
④俳句では一句の主人公は我という読まれかたしますので、心配性の捌きはちょっと気になりましたが、「卒婚」にもいろんな意味があるのだということのようで安心しました。私なら、「卒婚の定義や如何に梅雨の雷」なんて。
⑤閑坐さんは京都にお住まいとのこと、祇園会での挨拶ですね。沢山の山鉾が出ますが、「我が鉾」というのは担当の鉾があるということですね。一昨年、世話してくれる方があって動き出す前の月鉾の山車の上に乗せて貰いました。
⑥ここは切字を使った方発句の力が出ます。「梅雨明や耳飾りして鉾の辻」。こまかく言えば「梅雨明」と「鉾」の季重りのギャップが気になりますが。
⑦梅雨茸の生える様を「やっさもっさ」とするゆさぶり、いいですね。上五の「板垣に」はあっさり場面の説明で、ここもう少しありそうです。
⑧いい感じですね。発句に食指動きます。
⑨「七百余の枇杷」という具体性が利いています。「採れたと嫁の来る」がちょっと散文調ですので、「嫁の手に弾ける枇杷の七百余」とすれば、うちのおよめさんスゴイねという感じで、みんなハッピー。
⑩「躊躇ひがちにインタホン」の繊細な感じもうまく伝わらない感じ。逆に、「梅雨寒や思ひ切り鳴るインタフォン」とすると、こちらではためらいがちに押しても向こうではハデに鳴っているおかしみを取れます。高齢者が多くなった住宅地はそんな感じ。
⑪「雨の滴」と「全宇宙」の対比を感じさせる場面ですが、どの部分にこの発見があるのか・・。
⑫山鉾に鎮座するもろもろの神様の中には女神もいらしゃると思いますので、立派な布を使ってあると思いますが、「ゴブラン織」ということもあるのでしょうか。こういう込み入ったところになると捌きはお手上げです。
⑬明け方、東の空の縹色を眺めているとときめきますが、「水彩の色と戯れ」ということなのかと、しみじみ。
⑭「青時雨」というのは「青葉時雨」と同じで、街路樹等の葉に溜まった雨が、外を通る人にぱらぱら降ってくることで、雨上がりの晴天の現象。たまにありますね、こんなこと。こちらのバスも発車、楽しい旅が出来ますように。
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米字「風鈴を」 2019.7.13 起首
風鈴を見てゐる猫の夕かな 桃太郎
ほたるぶくろに灯入る頃 雀羅
○「米字」という形式については『十七季』のp551に出てますのでご覧下さい。
ではどうぞ。