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#50274
梅村光明
ゲスト

9月12日
お待たせしました。
まず、「無月」の句の説明文の扱いについて、言葉が足りなかったように思います。1・2・3と、解説文の変遷を列記しましたが、1が原典の芭蕉の言葉に近いものであり、それを東明雅さんが現代文に訳されたのが2であり、さらに簡明に言い表したのが3の「十七季」であったということです。東明雅著「連句入門」は中公新書で、古書で入手できます。
さて、第三の句としては、発句。脇句の世界からいかに転じるか、また賜餐形式ではオモテの最後の句であり、序の面をいかに括るかという役割が求められます。理由は下に書きましたが、ここはしをんさんの「鳥渡る一村十戸寄り添うて」をいただきました。
次のウ一は恋の句を短句でお詠み下さい。留めは仮名留めにしてください。14日の20時までに投句をお願いします。
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少年探偵団(賜餐)   2019.9.8起首

   野分だつ僕ら少年探偵団        光明(秋)
    月に透かせば顕れし地図       夕汐(月)
   鳥渡る一村十戸寄り添うて      しをん(秋)

ウ                       (恋)
                        (冬恋)
                        (雑)

みなさんの付句
重陽の茶事はじまりは正午にて     安庵(秋)
 *陰暦の9月9日が秋の重陽の節句にあたります。正午の設定は懐石料理が供されることを含んだ茶事の内容を想像させますね。発句からよく転じています。
林檎描き初公募展特選に        遥夢(秋)
 *林檎の色彩感が魅力的な句ですが、前句の「地図」とどう絡めればいいのか分からないのが難です。
跳ね上がる秋刀魚の群れの輝きて     芳(秋)
 *今年もサンマ漁は不漁とのニュースがありましたが、その暗さを払拭するような明るい句です。前句の「地図」が秋刀魚の回遊する海域への海図に見えてきます。それを採らなかったのは、「群れの輝き」に発句の「少年探偵団」が垣間見え、打越を避けました。
吾亦紅友と幾年山居にて        閑坐(秋)
 *吾亦紅は長年の友人とのさりげない関係に似合う花だと思います。採れなかったのは発句の「少年探偵団」です。友人関係が生まれた筈であり、それを第三で出せば打越になりますね。
鳥渡る一村十戸寄り合ひて      しをん(秋)
 *この句をいただきますが、「寄り合ひて」だと「会合・集会」の寄り合いを思わせますので、「鳥渡る一村十戸寄り添うて」とさせていただきます。「鳥渡る」の季語では、秋に来る冬鳥のことになり、過疎の村への季節の賑いをもうまく表わしています。
紅葉踏む草鞋の力密やかに       今日(秋)
 *「草鞋」に光を当て主役にして、紅葉が脇役という設定に些かの抵抗感が生じます。
雁が音にひとすじの道見ゆるらん   メロン(秋)
 *鳥の鳴き声を出すのは良いと思います。「ひとすじの道」が、前句の「地図」から抵抗感なく思い至る文体として、いわゆる付き過ぎだと思います。
栗の飯栗平等に盛り付けて       麻子(秋)
 *クローズ・アップが効いて納得させられる句の内容ですが、第三としては物足りなさを感じます。
田仕舞に船出見送る人もなし      千百(秋)
 *「田仕舞」に対する「船出」の意味づけがいまひとつピンときません。
大盛りの銀杏を買う縁日に      みゆき(秋)
 *「縁日」は神仏の祭典供養を行う日なので、オモテではまだ出さない方がいいですね。
「大盛りの銀杏並ぶ朝市に」とすれば問題は解決します。