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#50537
光明
ゲスト

10月 2日
祝満尾! 賜餐「少年探偵団」の巻に付け句をお寄せいただきありがとうございました。まずは最初の作品、無事満尾となりました。これも連衆の皆様のご協力が有ってのことと、心より感謝申し上げます。
挙句は今日さんの「薩摩上布に懸ける爺様」をいただきました。これをもって、表の「少年」から始まり、裏の愛する「君」という恋人たち、名残の表では「人びと」と「船頭」という群像、そして名残の裏の「爺様」という、人生模様が起承転結で描かれる一巻となりました。これは12句という短い形式を楽しむ工夫のひとつだと言えるでしょう。
さて、しをんさんから[ナウニに出した句についてですが、「山荘」は「十七季」の三夏に「サマーハウス」の同類として載っていますが。]とのお尋ねがありました。実際、その通りに載っていますが、「十七季」が完璧な歳時記で絶対だとは言えない面があります。
「十七季」は連句人には重宝な季語辞典ですが、すべての季語が載っているわけでもないという反面、他の歳時記に載っていない季語が載っているという事実があります。それが、今回の「山荘」なんです。
私が述べた『「山小屋」は夏の季語ですが「山荘」は季語ではないのです。』という根拠は、講談社版の「カラー図説日本大歳時記」によります。これには一般季題として「サマーハウス」が載っており、傍題として「海の家」「ビーチハウス」が載っているだけで「山荘」は載っていません。その解説は『海水浴用の葭簀囲いの海の家がここでいうサマーハウスというほど、しゃれた建物とも考えられないがサマーハウスといえばそういえなくもない。一方、高原や林間に建てられたペンションとか、山荘が夏期に利用される場合に、それをサマーハウスと呼ぶことにも問題はないわけではないが、夏の座敷を「夏座敷」として季題に用いて不思議でないのなら、海浜の「海の家」も林間や高原に建てられた避暑用のさまざまな建物がすべて「サマーハウス」と呼ばれても不思議ではない。ただし「山の家」「山荘」だけでは季題になるまい。〔岡田日郎〕』との記述から判断しました。
しかし、時期的には古い刊行の、角川版『図説俳句大歳時記』には「サマーハウス」の傍題として「山荘」「山の家」が載っているのです。「十七季」はこれに拠っていると思います。
というように、季語の有効性の判断には悩ましいものがありますが、私は「サマーハウス」なら採りますが、「山荘」では採らないという結論にさせて頂きます。
さて、次は「賜餐」と同じ窪田氏創案の「獅子」(16句)を巻いて行こうと思います、そこで、発句を募りますので6日中にお送りください。その中から選び、7日にスタートさせていただきます。

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少年探偵団(賜餐)   2019.9.8起首

   野分だつ僕ら少年探偵団          光明(秋)
    月に透かせば顕れし地図         夕汐(月)
   鳥渡る一村十戸寄り添うて        しをん(秋)

ウ   赤いカバンが助手席に乗る        安庵(恋)
   逢瀬の日サンタさんより齎され      メロン(冬恋)
    とろけそうだよ君の指圧に        麻子(恋)

ナオ 凍解けて石仏少し傾きぬ          ゆき(春)
    人びと酔わす花と旨酒          遥夢(花)
   船頭の訛り暖か堀巡り            芳(春)

ナウ  夢のつづきは猫といっしょに       小石(雑)
   噴水に遊ぶ親子の楽しげな         閑坐(夏)
    薩摩上布に懸ける爺様          今日(夏)
         2019.10.2満尾

みなさんの付句
薩摩上布のひいおじいさま        今日(夏)
 *この句を「薩摩上布に懸ける爺様」に修正していただきました。

祭り囃子を遠く聞く宿          遥夢(夏)
 *「噴水」に遊び、続けて「祭り囃子」を楽しむのは、少し遊び過ぎかな。「子」字が前句「親子」に出ているので、一語一会を守る思いから「囃子」は気になります。

思い出語る浜の夕凪           閑坐(夏)
 *すべては思い出の彼方に、とするこういう仕舞い方もあるのかな

アイスクリンの店に行列         夕汐(夏)
 *食べ物が出て居なかったので、高知の「アイスクリン」は美味しい句ですね。ウ三の「とろけそうだよ」が少し、引っかかりますが。

朝顔市のさんざめく声         メロン(夏)
 *植物で締めるという手もありですね。ナオ三「訛り」が気になります。

サマーハウスに響くオカリナ       麻子(夏)
 *音楽も出ていないので、挙句として効果的だと思います。

カレーライスの香る夏の日       しをん(夏)
 *暑い日のカレーは元気が出ます。「日」字が既出ですね。

夏たけなわの恩賜公園          安庵(夏)
豊年星をスマホ検索           安庵(夏)
 *申し訳ないのですが、一句付けでお願いします。「恩賜公園」に噴水があるかどうか不勉強ですが、「公園」を出すことで前句の説明句になって付き過ぎと判断されますね。
「豊年星」は「赤星」の傍題で、さそり座のアンタレスのこと。この季語も講談社の『カラー図説日本大歳時記』には載っておらず、『十七季』と角川の『図説俳句大歳時記』には載っているという季語です。色が赤い年ほど豊作の兆しとされ、「豊年星」と名付けられたようです。そういったことをスマホで検索するということだけで、挙句としては物足りなさを覚えます。

ちゃぶ台囲み粽と緑茶          ゆき(夏)
 *舞台設定の小道具である「粽」と「緑茶」に展開を委ね過ぎ、読者の想いが入る余地を無くしている感ありです。