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#53010
光明
ゲスト

 蜻蛉「京舞」の巻
3月14日
皆様、お待たせしました。
自由律への意欲はまだ強いようですが、本来の連句へ引き戻させていただきます。名残の表一句目は冬の句で候補句が八句集まりました。いずれも採りたくなる句が揃いました。
その中で久し振りに目にした「クリオネ」を詠んだのが、日和さんの「クリオネの体は透けて海の中」です。冬の季語が抜けていますが、クリオネ→天使→降誕祭と繋がって、「クリオネの体透けたるクリスマス」と修正して採りました。
次の名残表二句目、雑の短句をお詠み下さい。月前になります。
「月」字以外、既に出た文字は使えませんのでご注意ください。一語一会です。
締切りは3月16日の20時とします。

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     蜻蛉「京舞」の巻    2020. 2.15起首

1  京舞の腰落としてや臥龍梅        安庵(春)
2   小石ひとつで割れる薄氷        光明(春)
3  つばくらめ空水平に滑り来て       紋次(春)
4   三角定規あたらしく買ふ        小石(雑)

1  君がゐて僕ゐて貴女ゐて縺れ      メロン(恋)
2   ただ会ふために探す口実        秋草(恋)
3  感染(うつ)されしことも嬉しき夏の風邪 安庵(夏恋)
4   孫目ざとくも虹を指さし        遥夢(夏)

1  オズの魔法使ひだつた過去もあり     光明(雑)自由律
2   うぬぼれ鏡しか見てゐない       秋草(雑) 〃
3  銭湯の脱衣所に忘れ団扇が       炬燵猫(秋) 〃
4   猛烈な勢力の台風           夕汐(秋) 〃
5  月の兎は飛び出して宇宙旅       しをん(月) 〃
6   パティシエに成りたい夢がある      芳(雑) 〃
7  追ひかけたら優男逃げて行つた      ゆき(恋) 〃
8   赤い糸つららで断つてやる       今日(冬恋)〃
名残表
1  クリオネの体透けたるクリスマス     日和(冬)
2                        (雑)
3                        (新年月)
4                        (新年)
名残裏
1                        (雑)
2                        (春)
3                        (花)
4                        (春)
 
皆様の付句
丑参り闇に凍てつく指の先        夕汐(冬)
*恋離れとは行かず、前二句と三句がらみの感ありですね。

鉛筆に止まつて二日冬の蠅        安庵(冬)
*冬の蠅がうまく詠まれています。好い句です。

クリオネの体は透けて海の中       日和(冬)
*この句、冬の季語がないので「クリオネの体透けたるクリスマス」としていただきます。

お茶室の静寂に揺るる寒椿        今日(冬)
*調った句ですが、少し物足りなさを感じます。

福耳の石仏おはす枯れ野道        秋草(冬)
*「福耳の石仏」とは発見ですね。面白いです。

襖絵に孤舟蓑笠の翁ひとり        ゆき(冬)
*襖絵とまで言わなくても、「襖には孤舟蓑笠杖の翁」でどうでしょう。

野水仙なだれて越の青き海        遥夢(冬)
*「なだれて」が景をリアルにしています。リズムもいいですね。

佇みて風やりすごす冬の蝶       しをん(冬)
*「佇みて」が適っているか、蝶の擬人化の成功の鍵を握っていると思います。例えば「思案して風やりすごす冬の蝶」とすればどうでしょう。