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インターネット連句
ソネット「仁王門」(抱擁韻)
5月4日
お待たせしました。五句目は月の句で、13句案じていただきました。ソネットは一花一月なので月はここでしか詠めません。基本的には月の座は月を愛でる思いを大切にすることになります。それを踏まえて次は興のある月を探したりします。概ね月は添え物で別の気になる物を主役にということが多くなりますが、そこは作者の仕掛け方次第だと思います。
さて、月の句です。メロンさんの「満ち欠けを諾ひ巡る今日の月」を採りました。今日の月は十五夜の名月そのものです。しかし、その前後の夜には満ち欠けを経るという、美の移ろいを明確に詠んでいる点を買いました。
次の6句目は秋の短句になります。脚韻はd韻の最初ですから自由にお詠みいただきますが、できれば仮名留めにして下さい。
仮名遣いは前回と同じく歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
それでは、6句目の締切りを6日の20時とします。揮ってご投句ください。
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ソネット「仁王門」(抱擁韻) 2020.04.28起首
1 葉桜や夕陽溶けゆく仁王門 炬燵猫(夏)a
2 サングラス取り漢佇む 光明(夏)b
3 街角のカフェに読みさすアフォリズム 楽之(雑)b
4 金庫の宝二束三文 秋草(雑)a
5 満ち欠けを諾ひ巡る今日の月 メロン(月)c
6 (秋)d
7 (秋)d
8 (恋)c
9 (冬恋)e
10 (冬)f
11 (雑)f
12 (春)e
13 (花)g
14 (春)g
皆様の付句
月満ちて北前船の帆を張りて 遥夢(月)c
*廻船問屋の商いと前句の「金庫」がうまく付いています。でも月は脇役ですね。
月明き田中の道に遠囃子 楽之(月)c
*里の夜景が浮かびます。音を添えたのがいいですね。
乳ぜり子のひとみ浮かぶる月の雪 円水(月)c
*「月の雪」は月面の白い部分、「月の鏡」とも称されます。「乳ぜり子」で思い出すのは、竹下しづの女の戦前の句、「短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎(すてつちまをか)」です。ここで「乳ぜり子」は唐突すぎるかも。
試歩の杖休ませをれば居待月 今日(月)c
*病も癒えての歩みを、月も祝うという設定はいいと思います。
暗号は月の光で浮かび出て 芳(月)c
*お話ができていきますね。採りたくなりましたが、「でて」の脚韻が「茹でて」「詣でて」ぐらいしか思いつかないのです。
眠れぬ夜射し入る月が慰める ゆき(月)c
*ある意味月は人類の救世主とも言えるかもしれませんね。「める」も他に言葉が無いようです。
月の舟落葉松林渡り行く 秋草(月)c
*「月の舟」である必要を盛り込んでほしいな、という感じがします。それと発句に「葉桜」があり、14句しかない形式で樹木を二か所出すという説得力が必要。
満ち欠けを諾ひ巡る今日の月 メロン(月)c
*この句をいただきます。満ち欠けがあるからこそ、満月をより愛しむという思いが伝わります。
十五夜に月へ戻りぬ主人公 葵(月)c
*竹取物語をさりげなく詠まれました。「主人公」とちょっと距離を置きすぎた感じがします。
饒舌の輩も交じる月の宿 しをん(月)c
*「饒舌」だと真面目なだけで終わってしまいますね。例えば「不穏なる輩も交じる月の宿」とすればドラマに結び付き、「金庫」登場にもなります。
盗人の中に幼も月照らす 安庵(月)c
*映画「万引き家族」ですね。「盗人」は時代がかった趣がありますが、「幼」に結び付いて心に突き刺さる効果的な言葉になっています。
月灯り草子読みたる寝間の床 閑坐(月)c
*「寝間」も「床」も同じ意味ですね。「寝間の中」で好いと思いますが。高みから言えば「寝間照らし」でしょうか。
月の輪を自在に過る尾巻き猿 日和(月)c
*「月の輪」と「尾巻猿」がどうも結び付きません。私の知らないことがあるんでしょうね。