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インターネット連句
ソネット「仁王門」(抱擁韻)
5月6日
お待たせしました。ゴールデンウィークは晩春から初夏に亘る季語になっていますが、昨今は和製英語やらなんやら、即製利用の言葉が多くなりました。その中からいずれは季語になる言葉があるのかなあと、ふと考えたりしますが、良い意味だけが季語の条件ではないので、ただ季節が来れば繰り返すという季感を備えれば、季語になる可能性は否定できないでしょうね。
さて、6句目です。秋の短句に13句集まりました。楽之さんから秋の植物の出番があるかと問われ、低いとお答えしました。それならと考えられるのが生類だろうと私も想います。その判断がされた句が9句ありました。その中から小石さんの「夢見る朱鷺を起こさないやう」を採りました。「朱鷺→時」の読替えと、「月→朱鷺」の「ki」音の共鳴に魅かれました。
続いて7句目は秋の長句になります。三秋か晩秋の季語でお詠みください。脚韻は「やう」ですが、注意すべきは旧仮名ということです。この「やう」を漢字に直すと「様」になります。脚韻はこれと同じ「やう」になる漢字を用いなければなりません。例えば「よう」という漢字でも、読みが「えふ」「よう」「えう」「よふ」そして「やう」と、さまざま存在しますので、今回は「やう」と読む漢字を見つけて脚韻に使ってください。
仮名遣いは前回と同じく歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
それでは、7句目の締切りを8日の20時とします。揮ってご投句ください。
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ソネット「仁王門」(抱擁韻) 2020.04.28起首
1 葉桜や夕陽溶けゆく仁王門 炬燵猫(夏)a
2 サングラス取り漢佇む 光明(夏)b
3 街角のカフェに読みさすアフォリズム 楽之(雑)b
4 金庫の宝二束三文 秋草(雑)a
5 満ち欠けを諾ひ巡る今日の月 メロン(月)c
6 夢見る朱鷺を起こさないやう 小石(秋)d
7 (秋)d
8 (恋)c
9 (冬恋)e
10 (冬)f
11 (雑)f
12 (春)e
13 (花)g
14 (春)g
皆様の付句
鹿啼く里に暮露御座しまし 今日(秋)d
*「鹿啼く里に梵論師が佇つ」とすれば尺八の音が聞こえてきます。
邯鄲の音に夢を描いて 閑坐(秋)d
*以前、「邯鄲の音を聞く会」が夜の森林植物園で開催され、聞きに行ったことがあります。夢幻のひとときでした。
蜻蛉欲しがり派手に転倒 葵(秋)d
*子供の動きは視線の動きと一体なので、動いている時は足元を見る事など無いですね。バッタンという音が聞こえてきます。
夢見る朱鷺を起こさないやう 小石(秋)d
*この句をいただきます。
酒のあてには鰯炙りて 炬燵猫(秋)d
*「酒のあてにと」とすれば「鰯」への注目度が高くなりますね。
威し恐れず稲雀寄る ゆき(秋)d
*光り物や音響など色々な鳥威しの工夫がありますが、敵も然るもの引っ掻くもの、すぐに慣れてしまうんでしょうね。
秩父古道にあきつ群なし 遥夢(秋)d
*固有名詞の「秩父古道」が効果を発揮するかしないか、短い形式だとよほどインパクトか意味合いの強さがないと浮かび難いでしょうね。
実家(さと)の新物まず蕎麦掻きに 楽之(秋)d
*「実家」を、その読みのない「さと」とルビで読ませることで、つまり意味を補うという方法は、連句の場合お勧めしません。連句は付け進む文芸ですから、付け句を案じる人に委ねるべき前句の読みに、ある意味過度な情報を提供するということになりかねないからです。
子供歌へばちちろ輪唱 芳(秋)d
*絵本の場面のようですね。楽しくなります。
運動会の煽る心音 円水(秋)d
*「運動会」という大きな行事と、「心音」との落差が句を弱めているように思います。
菊の膾を片口に盛り 秋草(秋)d
*食べ物を詠むのもありですね。菊膾は別名「もつてのほか」称し、句材として使われます。「もつてのほかを片口に盛り」となりますね。
ましら酒とて翁髭なで しをん(秋)d
*お酒ですね。少し早いようにも思います。「カフェ」がありましたから。
ビデオ会議を兼ねる飲み会 日和(秋)d
*季語が抜けていました。悪酔いしそうな飲み会、あるいは酔いが回らない飲み会、いろいろ想像します。
くるくる巻いて簾納める メロン(秋)d
*いまでも毎年繰り返されること、これを不易といいます。ここに流行の無い気安さを感じます。