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インターネット連句
ソネット「仁王門」(抱擁韻)
5月12日
お待たせしました。まず今日さんからの質問に、捌きとしてお応えさせていただきます。遥夢さんからも誠意あるお応えが成されていますが、この連句興行の舵取りの一端が、お分かりいただければとも思います。
①「酒の銘柄の浮気とも読めますね」の解釈について
前句を新酒品評会と見做して、様々な銘柄が競い合う中、当然好みが合う
のは自らの銘柄だと思っていた蔵元と、その期待を裏切る審査員も居て、
ドラマが生まれるという見立ては、男女の恋愛模様にも通じる面白さがあ
るということです。
②前句からの転じの意。
源氏物語の夕顔の巻は雨夜の品定めと称し、女性の優劣を品評するのが主
題ですが、それと審査員らが重なり、そこから浮気という不実さに転じて
いるとも読めます。さらに憎いほどの落ち着きに俳諧味を覚えました。
③「ニクい」が、なぜカタカナなのか
「憎い」と漢字だったら、この句の面白さは半減していたと思います。漢
字の意味ではなく、まさに音韻としての表現により耳に残る句意となった
のです。
さて、9句目です。冬の恋句を11句付けていただきました。その中から夕
汐さんの「帰るなと抱き込むやうに雪しまく」を、「抱き込むやう」の「やう」
が6句目に出ているので「帰るなと抱き留めるかに雪しまく」と修正して採り
ました。e韻になる脚韻は「まく」ですが、12句目に詠む時は漢字の「巻く」
は同じ意味なので、使えない事をお断りしておきます。
10句目は冬の短句になります。脚韻は初めての韻ですから自由です。
仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
それでは、10句目の締切りを14日の20時とします。揮ってご投句ください。
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ソネット「仁王門」(抱擁韻) 2020.04.28起首
1 葉桜や夕陽溶けゆく仁王門 炬燵猫(夏)a
2 サングラス取り漢佇む 光明(夏)b
3 街角のカフェに読みさすアフォリズム 楽之(雑)b
4 金庫の宝二束三文 秋草(雑)a
5 満ち欠けを諾ひ巡る今日の月 メロン(月)c
6 夢見る朱鷺を起こさないやう 小石(秋)d
7 新酒利く審査員らの無言行 ゆき(秋)d
8 浮気責めてもニクい落着き 遥夢(恋)c
9 帰るなと抱き留めるかに雪しまく 夕汐(冬恋)e
10 (冬)f
11 (雑)f
12 (春)e
13 (花)g
14 (春)g
皆様の付句
丹前に君の温もりさらに捲く 今日(冬恋)e
*採用句と句意はよく似ています。四畳半的な濃密さを感じました。
編上げたセーター渡す夜の別れ 遥夢(冬恋)e
*夜の別れにする必要があるかどうか。安易な決着の様にも思います。
帰るなと抱き込むやうに雪しまく 夕汐(冬恋)e
*この句をいただきますが、「帰るなと抱き留めるかに雪しまく」に修正を。
思慕の果て忍ぶか跳ぶか雪の音 楽之(冬恋)e
*雪の音に結論を持ってきていいのでしょうか。
するすると帯を解かるる雪の宿 しをん(冬恋)e
*既視感を覚えました。
風邪声が気になり訪ね恋に落ち 秋草(冬恋)e
*ドラマの導入部という趣きで、先が見えすぎ。
冬ざれの心救はれ寄り添へり ゆき(冬恋)e
*すこし語り過ぎというか説明し過ぎのように思いました。
虎落笛一夜明ければ空の部屋 日和(冬恋)e
*恋の仕掛けが欲しいですね。このままでは未消化の気分。
雪女死の接吻を迫りくる 芳(冬恋)e
*この句、採ろうか迷いましたが、打越の「審査員」という存在と「無言行」
に「雪女」が引っ掛かりました。
極太のセーターの香が抱き寄せる 安庵(冬恋)e
*この句も迷いましたが、脚韻の「せる」がネックになりました。他にほとんど使える言葉が無いのです。
炉開を君に恋して褒めそやす 閑坐(冬恋)e
*「炉開」を力技で恋句にした工夫を買います。