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インターネット連句
ソネット「花火船」(交叉韻)
7月22日
皆様、おまたせしました、挙句です。脚韻は「だん」ということで、9句お詠みいただきました。
その中から遥夢さんの「黄蝶軽やか河を横断」を採りました。軽やかな蝶の飛翔に、挙句としての明るさと包容力を感じました。但し、「河」にやや狭隘さを覚えましたので、河という線から国という面へと広げ、「黄蝶軽やか国を横断」とさせていただきます。想像力を広げてくれる挙句になりました。
さて、この巻は見事満尾となりましたが、ソネット14句へ投句をしていただきました連衆の皆様には感謝申し上げます。投句参加者あってのインターネット連句、この後も引き続き共に楽しんでいきましょう。
そこで、次の興行に向けて発句を募集いたします。季は先取りになりますが「初秋」でお詠み下さい。締切は7月31日の20時とします。形式はお楽しみに。
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ソネット「花火船」(交叉韻) 2020.06.29起首 07.24満尾
1 花火船屋号半分消えかかり 安庵(夏花)a
2 蕩児いまだに波乗に暮れ 光明(夏)b
3 力学の基礎を学んだ発条秤 マリンバ(雑)a
4 米搗き飛蝗早よ捕つとくれ 今日(秋)b
5 名月に草の戸そつと訪ね来て 秋草(月)c
6 思ひの丈を競ふコスモス 小石(秋恋)d
7 恋敵抜駆け無しといふ掟 メロン(恋)c
8 甘く切ない古日記燃す 芳(冬恋)d
9 今生は夢のつづきか浮寝鳥 しをん(冬)e
10 破魔矢の鈴がはねる石段 安庵(新年)f
11 縄のれん帰宅途中の雨宿り すみれ(雑)e
12 目刺を狙ふ猫の密談 炬燵猫(春)f
13 賑やかに桜まつりの笠踊り ゆき(春)e
14 黄蝶軽やか国を横断 遥夢(春)f
皆様の付句
黄蝶軽やか河を横断 遥夢(春)f
*この句をいただきますが、「河」に物足りなさを覚えました。蝶の能力をもっと引き出して、「黄蝶軽やか国を横断」としましょう。
巣立ちの友を送る楽団 すみれ(春)f
*前句の「笠踊り」には音曲も含まれているでしょうから、「楽団」は付き過ぎということになりますね。
春闌く天地詩はデカダン 炬燵猫(春)f
*この句好きです。浸透する「デカダン」がいいですね。フェデリコ・フェリーニ監督の映画を思い出しました。
うららな笑顔村の楽団 芳(春)f
*「楽団」については、先に書いたようにチョイスに疑問があります。その結果、親句過ぎるということになりました。
炉蓋の縁にのこる白檀 安庵(春)f
*「炉蓋」は「炉塞」の傍題ですが、その縁に「白檀」がどのように残るのか、不勉強でよく分かりません。香木として意味があるのか、単に脚韻として思いつかれたのか迷いますが、いずれにしても挙句とするにはさり気無さ過ぎて、物足りなさを覚えました。
語らひて行く野辺は春暖 秋草(春)f
*春の暖かさが浮かび上がりました。下五が効いています。
春服眩し愛の医師団 しをん(春)f
*「愛の」が余分だと思います。どの医師団を指すのかを曖昧にしてしまう恐れがあるように私は思います。愛を持たない医療従事者は、それこそ問題視されるでしょうね。「春服眩しコロナ医師団」。
行く春惜しむ茶会団団 メロン(春)f
*「団団」は、まどかな様子ということで詠まれたのでしょうね。
梅翁忌とて焼ぶる白檀 今日(春)f
*挙句に忌日を出すのはいかがなものでしょうか。故人への想いが忌日からは立ち上がり、挙句は後を引かないように付けるという約束の妨げになると思います。