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インターネット連句
鳳蝶「仏蘭西の友」
10月23日
皆様、お待たせしました。中4句の内3句恋句が続いたところで、いわゆる恋離れの句が求められるところです。「恋離れ」とは前句が恋句のときに、その句に付けると恋の句になるが、付ける句を独立してみたときには恋の句にならないものを言います。
それに照らし合わせてみると、遊子さんの「そつと触れたる弥陀のてのひら」の句が、前の恋句である「初デート」に付けてみれば、相手の手に触れるとその形容として阿弥陀如来の手のようだ、と感じて思いが深まるという恋の世界が描かれることになりますが、それだけを読めば、仏像の掌に触れた有難さを詠んだ句ということになり、まさに遊子さんの句は、恋離れのお手本のような句と言えます。釈教の句という点も買います。
さて、中4句が終り次からは左8句を詠むことになります。この形式は一花二月なので、月の句がもう1句必要ですから、左1句目は冬月の句をお詠みください。
今回の形式「鳳蝶」には表・裏はございませんが、基本的な式目は歌仙式に倣って進めたいと思います。なお仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
それでは、左1句目の締切りを10月25日の20時とします。揮ってご投句ください。
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鳳蝶「仏蘭西の友」 2020.10.02起首
右 名月や声懐かしき長電話 芳(月)
葡萄酒醸す仏蘭西の友 光明(秋)
蔦紅葉城壁朱く彩りて 秋草(秋)
眼鏡はづして合はすフォーカス 小石(雑)
あやとりの川がたちまち山となり しをん(雑)
風通りくる湯屋の籐椅子 炬燵猫(夏)
熱帯魚横目にヨガの猫ポーズ しをん(夏)
がつつり飯のレシピ定まる 遊子(雑)
中 箸置きは清水焼の色違ひ 安庵(恋)
切符二枚を予約する夢 ゆき(恋)
シューマンの余韻に浸る初デート 遥夢(恋)
そつと触れたる弥陀のてのひら 遊子(雑)
左 (冬月)
(冬)
(雑)
(新年)
(雑)
(春)
(花)
(春)
皆様の付句
子らに渡さむ戦なき世を 遥夢(雑)
*まったく同感です。平成に令和と我が国は平和が続いてきましたが、世界ではいまだに砲声が止まずにいます。核の脅威も、ヒロシマやナガサキを忘れてますます高まっているように思います。
そつと触れたる弥陀のてのひら 遊子(雑)
*この句をいただきます。
別れの気配あめが知らせる 安庵(恋)
*此処での表記は「雨」でないといけないと思います。「飴」とは思わないでしょうけれど。雨が降る事で、別れの気配が分かるという発想は面白くて好きです。
山に魅せられ山びことなり ゆき(雑)
*ファンタジーですね。現代人はファンタジーと密接な関係を、かつてなく築いていると言われているようです。この句は山に逝った人を偲ぶ句なんでしょうね。
空いつぱいに星が輝く すみれ(雑)
*当たり前のようで、そこに在るものが見えないのが現実の空。降るような星空との喩えそのものの空も、人工の光が無ければ現出するのですから。不自然な世界に生きていることを思い知らされます。
抱きしめられて耳こそばゆく しをん(恋)
*これは一種のアレルギー反応とも言えますね。接近し過ぎた関係への正直な皮膚感覚。恋のバロメーターかも。
夕日に染まる君の頬つぺた 芳(恋)
*ただ夕日に染まっているのか、あるいは異性に対する反応として紅潮しているのか、ここは両方の意味として捉えましょう。
メールで届く後朝のうた 秋草(恋)
*かつては「後朝の使い」という存在が居て、歌を詠んだ文を届ける役目を果たしていましたが、それが「メールで届く」世の中になったという句ですね。昨今なら「リモート後朝」や「後朝ズーム」となりますか。
金婚式に果てぬときめき 炬燵猫(恋)
*婚姻生活50年を経て、いまだときめくという関係も有るのでしょうね。愛は奥深いものですから。