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#58753
光明
ゲスト

インターネット連句
 鳳蝶「仏蘭西の友」  
11月6日
 皆様、お待たせしました。花の句です。締切後の日和さんの句を含めて8句の投句をいただきました。そこで、京都市に「天使突抜け町」という地名が、豊臣秀吉の時代からあるのを前句の「突き抜け」から思い出しました。そこから句の展開を、古典的でありながらも異次元空間への付抜けを描いた、秋草さんの「訪へば壺中の天地花万朶」を、「訪ふは壺中の天の花万朶」と修正して採りました。万朶の「花」が花の座の主役として活かされています。

 いよいよ挙句となりました。春の短句をお詠みください。

 今回の形式「鳳蝶」には表・裏はございませんが、基本的な式目は歌仙式に倣って進めたいと思います。なお仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
 それでは、挙句の締切りを11月8日の20時とします。揮ってご投句ください。11月からは偶数日が締切りです。

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   鳳蝶「仏蘭西の友」  2020.10.02起首

右 名月や声懐かしき長電話         芳(月)
   葡萄酒醸す仏蘭西の友        光明(秋)
  蔦紅葉城壁朱く彩りて         秋草(秋)
   眼鏡はづして合はすフォーカス    小石(雑)
  あやとりの川がたちまち山となり   しをん(雑)
   風通りくる湯屋の籐椅子      炬燵猫(夏)
  熱帯魚横目にヨガの猫ポーズ     しをん(夏)
   がつつり飯のレシピ定まる      遊子(雑)

中 箸置きは清水焼の色違ひ        安庵(恋)
   切符二枚を予約する夢        ゆき(恋)
  シューマンの余韻に浸る初デート    遥夢(恋)
   そつと触れたる弥陀のてのひら    遊子(雑)

左 凍蝶は優しき月に見守られ      すみれ(冬月)
   何を贈らう終のボーナス        芳(冬)
  故郷の父母へ離れの設計図      メロン(雑)
   淑気の中に仰ぐ富士の嶺       遥夢(新年)
  航海を結ぶ錨を今下ろす        ゆき(雑)
   シャトルコックは春へ突き抜け    遊子(春)
  訪ふは壺中の天の花万朶        秋草(花)
                       (春)

皆様の付句
晴れ舞台称へるやうに花吹雪     すみれ(花)
*「晴れ舞台」の描かれ方に曖昧さを感じます。前句の競技に付いているのなら、「花吹雪」は添え物として読まれる恐れが生じますね。曖昧さを活かして想像力に委ねているという判断もできますが。

武者震ひして魁ける花眩し       遊子(花)
*こなれた句跨りのリズムで装われた「花」の表現、歌舞伎的な世界観を想いました。

晩学のアルトサックス花の丘     しをん(花)
*吹奏楽器は練習場所が限定されるという問題が生じるんですよね。音が比較的大きいので、防音装置のない室内では普通に吹けない。そこで、外での演奏になり、「丘」の上の登場ですね。それも「花の丘」とは素晴らしい。「晩学」に挑む人は何歳ぐらいでしょう。いわゆるシニア世代でしょうか。因みに私は高校までトロンボーンを吹いてまして、家ではミュートという消音具を喇叭に挿しこんで音を出していましたね。

一瞬のスローモーション飛花の舞     芳(花)
*前句の動きをスローモーションで切り返した句ですね。実際は散る花を描いていますが。「一瞬」が句を弱めているようにも感じます。「永遠のスローモーション花の舞」と、「飛花の舞」の存在感を強め定着させてもいいと思います。その際には「飛花の舞」(ひかのまひ)よりも「花の舞」(はなのまひ)と、「花」(はな)という音を活かす選択が望ましいのでは。

訪へば壺中の天地花万朶        秋草(花)
*「訪ふは壺中の天の花万朶」としていただきます。「壺中の天地」でもいいのですが、ここは「地」は外して「壺中の天」としましょう。

飛花落花古き礎石を埋尽くし      遥夢(花)
*寺院跡か塔の跡でしょうか、礎石だけになった地面に降り注ぐ「飛花落花」には、建物が現存していた往時を想像させるパワーを感じますね。

社務所前振袖濡らす花の雨      炬燵猫(花)
*ここでの「社務所」という場所の設定に、少しとまどいが生じますね。神社としての建物構成を考えると、「社務所」はあくまでも付属施設で、本殿や正殿ではなく、振袖姿の華やかさに不釣り合いな建物であり、そこに「花の雨」を取り合わす不合理さを覚えます。単なるスナップとしては成立するとは思いますが。ここは花の座という前提がありますので、取り合わせの配慮が必要ではないでしょうか。

初花が予後の希望と光る庭       日和(花)
*「初花」は仲春で、咲き始めの桜ですね。二花ある歌仙形式なら、初折の裏の花の座で詠まれることはあるでしょうが、名残の裏の匂いの花では、普通は詠まれることの無い季語だと思います。この鳳鳥形式では花はひとつということで、咲き満ちてから散るまでの、晩春の「花」が私は望ましいように思います。それと「予」字が中2句目に既出でした。