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インターネット連句
本宝塚「雪螢」の巻
1月6日
皆様、お待たせしました。
月の連六句目は恋の短句、11句もの付けが寄せられました。まさにさまざまな恋模様が詠まれています。なかでも、ゆきさんの「熱愛覚めて幕が下ろされ」が、恋の終りを「幕が下ろされ」と表現し、前句の「浄瑠璃」に付き過ぎではない、掛け詞で返すという気の利いた恋句になりました。熱し易くて冷めやすい恋の付け合いを構成した、この句をいただきます。
次の月の連七句目は、雑の句を仮名留めでお詠み下さい。
「宝塚」には表・裏はございませんが、基本的な式目は歌仙式に倣って進めたいと思います。なお仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は月・花以外は一語一会です。
月の連七句目の締切りを1月8日の20時とします。揮ってご投句ください。1月からは偶数日が締切となっています。
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本宝塚「雪螢」 2020.12.01起首
雪の連
行く先を風に任せて雪蛍 芳(冬) 雪
紫キャベツサラダ彩り 光明(冬)
君笑めば凍てる心も溶くるらん 遥夢(冬恋)
在宅ワーク募る逢ひたさ 炬燵猫(恋)
センサーで手水オン・オフ初社 日和(新年)
毬杖打ちの村は賑はひ マリンバ(新年)
笛太鼓東京音頭繰返し 晋山(雑)
星の連
とんび輪を描く原つぱの上 秋草(雑)
日焼した顔も晴れやかバイク旅 すみれ(夏)
負けん気を出すラムネ早飲み 芳(夏)
夏星のひとつ二人の星と決め ゆき(夏恋) 星
季の移ろひに歩み揃はず メロン(恋)
白無垢のお色直しはチマチョゴリ 芳(恋)
済州島(チェジュ)の浜辺で探す貝殻 しをん(雑)
月の連
携帯はもうすぐ電池切れさうで すみれ(雑)
蓑虫鳴けば猫の耳立ち 秋草(秋)
ひたひたと帰山の僧の月を連れ 遊子(月) 月
老舗秘伝の旨き鱲子(からすみ) 炬燵猫(秋)
許されぬ恋語りたる素浄瑠璃 遥夢(恋)
熱愛覚めて幕が下ろされ ゆき(恋)
(雑)
皆様の付句
ダスティンホフマン来てよ奪ひに 日和(恋)
*映画「卒業」懐かしいですね。サイモン&ガーファンクルの歌声が聞こえてきます。花嫁を掻っ攫うという、衝撃のラストシーンに夢を見た若者が多く居たと思います。
そびらのほくろ幾夜愛しび 遊子(恋)
*本人は見ることのできない背中の黒子を、人質に取られたような愛の狩人のもの狂おしさが伝わります。まさに許されぬ恋の渦中にある恋人たち。
法の間で契り成し得て マリンバ(恋)
*さて、これも恋句になるのかと悩みます。恋句の条件は「情」の存在だと私は思っています。
のの字書きつつ先ず一目惚れ 揺子(恋)
*お見合いの席での女性の古風な仕種を切取りました。恥らいながらも、観るところはきちんと観ているという恋の始まりですね。
後朝の衣なほも抱きしめ しをん(恋)
*濃厚な情が伝わります。別れを惜しむ執着心が的確に表現されました。
美しすぎる魔女のため息 すみれ(恋)
*随分と昔のアメリカ産のテレビドラマに、「奥さまは魔女」というのがありました。奥様の名前はサマンサでしたか、子供ながら熱中して観ていましたね。まさにそのドラマのワンシーンです。
いつそ切りたい腐れ縁なら 秋草(恋)
*演歌の世界を想いました。以前から演歌には恋句の言葉が豊富に使われていると考えています。つまり恋句のヒントが歌詞の中にはあるということです。うまく引き出せればいいと思います。
熱愛覚めて幕が下ろされ ゆき(恋)
*この句をいただきます。
逢ひたさ募り熱に浮かされ 芳(恋)
*「逢いたさ見たさに怖さを忘れ」という歌があります。この句は恋煩いの状態ですね。落語の「崇徳院」を想いました。
褒めておだてて夫操る 炬燵猫(恋)
*熟練の妻。愛のなせる技でしょうか。「操る」が前句に上手く付いていますね。
契りし仲も夢か現か 遥夢(恋)
*近松の芝居の中の科白にあったような、実感を伴う恋句になりました。