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#65925
光明
ゲスト

インターネット連句
 六条院「核の終り」の巻
3月28日
 皆様お待たせしました。無事に満尾となりました。
 挙句ということもあってか、新年の短句を10名の方にお詠みいただきました。普段詠むことのない限られた新年の季語に、挑戦するという形になったように思われます。
 その中から、お正月でも、庶民の暮しに戯れのひとときを垣間見る、双六遊びをお詠みになられた、揺子さんの「運引き寄せてあがる双六」を採りました。今回の六条院という恋模様が濃厚な男と女の物語とも言える形式の、人生双六と見做しての「あがり」であるという、位置づけができると思いました。それと共にこの句には、挙句に至る23句全てを包含する働きもなされているのではないでしょうか。
 最後に、この六条院の興行によりコロナ下の閉塞感を、少しでも言葉の力で打ち破ることができていれば嬉しく思います。そして、ここまでお付き合いくださったすべてのみなさまに感謝申し上げると共に、次回の興行にもご参加いただけることを期待しております。ありがとうございました。
 次回、ご案内まで暫くお待ちください。

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   六条院「核の終り」  2021.02.12起首 03.28満尾

春邸 春兆す核の終りの始まれり      ゆき(春)
    麦を踏むのも父と暮らせば     光明(春)
   弾き語る路上ライブの朧月       芳(春月)
    不意の接吻雪解の庭       炬燵猫(春恋)
   白無垢の肩を彩る飛花ひとつ     遥夢(花恋)
    晩のおかずはいつもコロッケ    秋草(雑)

夏邸 ポパイ観て身近になりぬアメリカン  晋山(雑)
    国境越へて添へる日を待つ    メロン(恋)
   馴初めも別れもネット司り      揺子(恋)
    躊躇ひがちに潜る青蚊帳      秋草(夏恋)
   月照らす小さき金魚の小さき背   炬燵猫(夏月)
    水鉄砲は的を外して       しをん(夏)

秋邸 宝くじ願ひをこめて神棚へ     メロン(雑)
    惚れる薬と知つて飲み干す      芳(恋)
   久びさの逢瀬を満たす今年酒    しをん(秋恋)
    去り行く足音(あのと)潤む月影  遥夢(月恋)
   菊供養ちよつと一服ほつこりと    縁糸(秋)
    盲導犬は仕事中です       炬燵猫(雑)

冬邸 映画館出れば夢から現実へ      秋草(雑)
    嚏の顔を見られ消え入る       芳(冬恋)
   月渡る落ち葉に混じる睦み声     秋草(冬月恋)
    大歳過ごす方違へなり      メロン(冬恋)
   霊峰の遥かにありし若菜野に     遥夢(新年)
    運引き寄せてあがる双六      揺子(新年)

皆様の付句
飾馬来る鈴を鳴らして       しをん(新年)
*初荷の行事ですね。「鈴を鳴らして飾馬来る」と、上句下句を入れ替えたほうが納まりが好いと思います。

運引き寄せてあがる双六       揺子(新年)
*この句をいただきました。

青空高く凧舞ひ上がる        縁糸(春)
*子供の頃、私もお正月には凧を揚げましたが、「凧」は春の季語なんですよね。

あづき粥とて添へるお濃茶      遥夢(新年)
*新年への気合を感じる句になりました。

いろはがるたで学ぶ諺        今日(新年)
*「学ぶ諺」に学習の継続性を覚えて、挙句感がやや薄いように思われます。

土鍋に湯気のあがる新玉       日和(新年)
*新年の季語には「新玉の年」としないとならないので、「土鍋に湯気のあがる新歳(しんさい)」としましょうか。

吉書に託す道の平安         秋草(新年)
*「吉書」を用いたのが新年の挙句としてもいい思います。

家族揃うて祝ふお雑煮       メロン(新年)
*コロナ下に「家族揃うて」という望みが、お正月のささやかな喜びとして伝わります。

初鶯の姿麗し           炬燵猫(新年)
*「初」字が既出でしたが、希望を感じさせる挙句になりました。

錦を飾りあがる双六          芳(新年)
*「故郷に錦を飾る」を踏まえた、遊びの中にも人生の重みを感じさせる挙句だと思います。