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#66937
光明
ゲスト

インターネット連句
 伊予の湯桁「琴の会」の巻
5月20日
 お待たせしました。中二句目は雑の短句です。中に入ったところで改めて、先に左(表)八句を、一巻の運びを規制する原理としての序破急の「序」であることを確認すれば、まさに穏やかに巻き進めて参りました。
 そして、その流れに従へば中からは「破」の局面に入ることになります。そこで各句に求められるのは、変化に富んだ面白い句をという括りになるのです。
 さて、中二句目ですが、候補が10句集まりました。その中から、やや意想外である炬燵猫さんの、「のそりと歩く若冲の象」を採りました。江戸時代の画家若冲に、モザイク画法で描かれた白象の絵があり、それを詠んだ句になります。前句の舞台の書割の一つとも読むことができて、付かず離れずの距離感が効果的だと思いました。
 左七句目の「魚」とは間に二句挿んでいるので、生類二句去りには適っています。実際には実物の象ではなくて、歩くことのない絵に描かれたものですから、良しとしましょう。

 中三句目は恋の句をお詠み下さい。

 基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。

 中三句目の締切りを22日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   伊予の湯桁「琴の会」   2021.05.04起首

左 初袷たをやかに座す琴の会     メロン(夏)
   風の調べに揺るる葉桜       光明(夏)
  夏燕空を自在に遊ぶらん       遥夢(夏)
   仕事帰りにフィットネスジム   炬燵猫(雑)
  金色の手作りジャムを購うて     秋草(雑)
   路面電車が見せる町並み       芳(雑)
  月中天魚も眠る水族館        ゆき(月)
   お独りさまの集ひ夜長に     しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し      芳(秋)
   のそりと歩く若冲の象      炬燵猫(雑)
                      (恋)
                      (恋)
                      (恋)
                      (冬)
                      (冬月)
                      (冬)
                      (雑)
                      (新年)
                      (新年花)

皆様の付句
チョン!が入つて舞台が回る      縁糸(雑)
*「チョン」は「柝(き)」の音。舞台上の進行の合図に用いられますが、前句と一体になり過ぎた句と言えますね。前句と同じ場所に留まったままで、転じていないということになります。

父親ゆづり兄弟の眉          日和(雑)
*芝居の兄弟役者を詠んだ句と察せられます。特に歌舞伎役者の家の親から子へと受け継がれていく芸と共に、血の系譜が如実に表れ、この句の内容にも結び付きますね。芝居の世界に直接近づかないで、だけど遠回しには内実を的確に描きながら、離れ具合がとても良いという句になっています。

胸躍らせる覗き見の子ら        遥夢(雑)
*この句も、前句の舞台の一端に結び付いた、心情溢れる情景を描いた句になりました。

スカートの裾直す裏方        しをん(雑)
*この句も舞台制作の上で起きるエピソードを、さりげなく描き出すことに成功した句と言えますね。宝塚歌劇団を想いました。

ゴシックロマン息詰めて読む      ゆき(雑)
*採ろうかどうか、迷わされた句です。「ゴシックロマン」とは、18世紀後半のイギリスで、主に中世の古城を舞台に描かれた怪奇小説を意味する一つのジャンルで、その後の怪奇小説や推理小説の発生に影響を与えたそうです。そんな小説を「息詰めて読む」という句に、力強さを感じました。

遠慮がちなる姿ゆかしく       メロン(雑)
*この人物像、私は高倉健を思い浮かべました。

唾飛び交へば穴ふさぐ蟻        甚碌(雑)
*「蟻」は夏の季語なんですよ。季語とされている生類は多くあるので、用いる時は必ず確認しましょう。これは寓意の有る句と読むことができますね。

のそりと歩く若冲の象        炬燵猫(雑)
*この句をいただきました。

笛吹ケトル止まぬキッチン       遊子(雑)
*「ケトル」が有る場所は「キッチン」でしょうから、これを取って句意を広げた方がいいと思います。「笛吹ケトル止まぬお茶時」「笛吹ケトル止めるヘルパー」とか考えられますね。

関節痛み湿布離せず          秋草(雑)
*舞台稽古の激しさに、肉体疲労もピークに達する状況。病体を出すことで、前句とのほどよい距離感が保たれています。