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#66978
光明
ゲスト

インターネット連句
 伊予の湯桁「琴の会」の巻
5月22日
 お待たせしました。中三句目は恋の句をお願いしました。恋の句を簡単に仕立てるのには、「恋」や「愛」字に代表される「恋の言葉」を挿入するだけという、句の詠み方があります。しかし、連句の経験を積めば積むほど、その手には嵌まりたくないという思いが湧いてきます。連衆の中で、できるだけ我慢し合うことになり、用いることなく恋の句は詠まれて終る場合も生じます。
 さて今回は、候補句を9句寄せていただきました。その中で、「愛」が用いられたのは2句だけでした。皆様の我慢度が高ったことが判ります。ここでは用いることが悪いとは言っておらず、意識の問題を述べているだけです。
 採ったのは、今日さんの「ほの一字背中になぞり頬を染め」です。元句は「ほ」と、カギカッコが付いていますが、無しでも意味が通ると思いますので外しました。

 中四句目も恋の短句を仮名留めでお詠み下さい。

 基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。

 中四句目の締切りを24日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   伊予の湯桁「琴の会」   2021.05.04起首

左 初袷たをやかに座す琴の会      メロン(夏)
   風の調べに揺るる葉桜        光明(夏)
  夏燕空を自在に遊ぶらん        遥夢(夏)
   仕事帰りにフィットネスジム    炬燵猫(雑)
  金色の手作りジャムを購うて      秋草(雑)
   路面電車が見せる町並み        芳(雑)
  月中天魚も眠る水族館         ゆき(月)
   お独りさまの集ひ夜長に      しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し       芳(秋)
   のそりと歩く若冲の象       炬燵猫(雑)
  ほの一字背(そびら)になぞり頬を染め 今日(恋)
                       (恋)
                       (恋)
                       (冬)
                       (冬月)
                       (冬)
                       (雑)
                       (新年)
                       (新年花)

皆様の付句
ほの一字背中になぞり頬を染め     今日(恋)
*この句をいただきます。「」は外しましょう。それと「中」字は既出なので、「背(そびら)になぞり」とします。

器量よし錦小路で落とし文       日和(恋)
*若冲は京の錦市場の八百屋の跡継ぎでした。それを踏まえた付けですね。直接的な気もします。気を付けなければならないのが、「落とし文」は夏の季語として読まれる恐れがあるということですね。

柔らかな君を感じる左腕         芳(恋)
*ただ並んでいるだけなのに、さり気ない恋情が伝わります。

焦れつたい絡ませたくて火照る指    遊子(恋)
*滾る思いを指に凝縮させ、さらに思いを増幅させるという、手練れの表現力を感じました。

愛しきみ面影似たり何みても      縁糸(恋)
*意味を深めるために、仮名よりも漢字表現が適している場合があります。ここでは「愛しきみ」は「愛し君」ですね。読みによれば「愛しき身」とも読めますから。それと「何みても」は「何見ても」としましょう。表現行為にとっての表記には、もっと気を使いましょう。

一目見て募る思ひを文にして      遥夢(恋)
*「文にして」に少し曖昧さを覚えます。ラブレター・恋文なのか、記録する文章なのか、一瞬の迷いを生じます。「一目見て募る思ひを歌に詠み」とすればはっきりしますね。

耳飾り重たくなりぬ人待てば      秋草(恋)
*デートなので、丁寧な装いをしたものの、時間の経過でイヤリングを重たく感じてきた、という展開は、一捻りあって面白い句になりました。

マドンナの流し目に酔ふ御曹司    炬燵猫(恋)
*実際のマドンナなのか、あるいは源氏名にした大和撫子か、どちらにも読める幅広さを想いました。このあと御曹司はどのような行動に移るのか、読者の想像力が試されますね。

陰になり日向になりて君の愛     しをん(恋)
*「陰になり日向になりて君と僕」とすればいかがでしょう。別の見方が生まれますね。