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インターネット連句
伊予の湯桁「琴の会」の巻
5月28日
お待たせしました。中六句目は冬の短句です。連句は森羅万象を詠み込んで行きますが、特に古来から人の暮しに欠かせない素材を、必ず句にするという了解があります。それがお酒です。農耕生活から作りだされるのがお酒で、祭祀にも必要なものでした。それから、妖怪です。ともし火・篝火しかない時代が長く続き、魑魅魍魎が跋扈する闇夜は自然なもので、妖怪は身近な存在だったと言えます。
そんなふたつの素材を一度に詠んだ句が、秋草さんの「寝酒の友に誘ふあやかし」でした。「あやかし」は妖怪全般を示しますが、特に海上に現れる妖怪を言います。そして冬季の季語の「寝酒」との取合せが違和感なく読めました。
中七句目は冬月の句を仮名留めでお詠み下さい。
基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。
中七句目の締切りを30日の20時とします。揮ってご投句ください。
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伊予の湯桁「琴の会」 2021.05.04起首
左 初袷たをやかに座す琴の会 メロン(夏)
風の調べに揺るる葉桜 光明(夏)
夏燕空を自在に遊ぶらん 遥夢(夏)
仕事帰りにフィットネスジム 炬燵猫(雑)
金色の手作りジャムを購うて 秋草(雑)
路面電車が見せる町並み 芳(雑)
月中天魚も眠る水族館 ゆき(月)
お独りさまの集ひ夜長に しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し 芳(秋)
のそりと歩く若冲の象 炬燵猫(雑)
ほの一字背(そびら)になぞり頬を染め 今日(恋)
疑惑の後妻じつは世話焼き 日和(恋)
媾曳の浜辺に寄せる黒い波 遊子(恋)
寝酒の友に誘ふあやかし 秋草(冬)
(冬月)
(冬)
(雑)
(新年)
(新年花)
皆様の付句
九尾の狐ムジナと戦 縁糸(冬)
*「狐」と「貉」はどちらも冬の季語で季重なりです。リズムが悪いので、下句の四三は避けたいですね。
ずぶ濡れ狸鳴らぬ腹打ち 甚碌(冬)
*
懲りぬ原発蝶々の凍て 遊子(冬)
*季語は「凍て蝶」。人類が制御できない原発への、批判の象徴としての季語が、詩的に詠み込まれています。
寒灯ひとつ遠き山裾 ゆき(冬)
*分類すれば水辺である前句に、山類とされる「山裾」の句を付けるのは、視野の移動の強制、あるいはカット割りというモンタージュになりますが、その効果は読み手に委ねてしまうということになりかねませんね。
寝酒の友に誘ふあやかし 秋草(冬)
*この句をいただきました。
焚火囲んで語るふるさと 遥夢(冬)
*昨今は「焚火ブーム」のようで、テレビ番組にもなっていますね。我々は火を得ることでヒトになってきたという、歴史的な時間経過から生じた感傷が、炎を見ることで甦るのかもしれませんね。
熊手買ひ占め福を独占 炬燵猫(冬)
*季語は「酉の市」でその傍題が、縁起物の「熊手」です。ここでは財力と福とは別のようですね。