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#67533
光明
ゲスト

インターネット連句
 伊予の湯桁「琴の会」の巻
6月16日
 お待たせしました。中一五句目は月の句です。10の秋月が集まりました。その中から、炬燵猫さんの「モダンジャズ流れる床屋月覗く」を採りました。「床屋」は今で言う所の「理髪店」ですね、主に男性の毛髪を整える場所になります。そこの店主あるいはマスターがジャズ音楽好きで、有線を四六時中流しているという設定と読めます。そこへ擬人化された「月」が顔を出し、マスターとの間にジャズ談義を始めるんですね。まあ、そこまで深読みすることもないとは思います。ここはビッグバンドではなく、ピアノ・トリオが似合いますね。因みに私の家の近くには「モダンジャズ流れる仏壇屋」があります。
 月の座では「月」を賞翫する句が基本的には求められますが、この巻のように月が三つ詠まれる場合には、その内の一つは、自由な表現の句になってもよいと私は思います。

 中一六句目は秋の短句をお詠み下さい。これで中の句、つまり「破」が終わります。

 基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。

 中一六句目の締切りを18日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   伊予の湯桁「琴の会」   2021.05.04起首

左 初袷たをやかに座す琴の会      メロン(夏)
   風の調べに揺るる葉桜        光明(夏)
  夏燕空を自在に遊ぶらん        遥夢(夏)
   仕事帰りにフィットネスジム    炬燵猫(雑)
  金色の手作りジャムを購うて      秋草(雑)
   路面電車が見せる町並み        芳(雑)
  月中天魚も眠る水族館         ゆき(月)
   お独りさまの集ひ夜長に      しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し       芳(秋)
   のそりと歩く若冲の象       炬燵猫(雑)
  ほの一字背(そびら)になぞり頬を染め 今日(恋)
   疑惑の後妻じつは世話焼き      日和(恋)
  媾曳の浜辺に寄せる黒い波       遊子(恋)
   寝酒の友に誘ふあやかし       秋草(冬)
  浄土にも有りや冬月ちちははよ    しをん(冬月)
   柚子湯の柚子をギュッと抱きしめ  炬燵猫(冬)
  定跡を踏まへた上の詰将棋       日和(雑)
   蓬莱飾る京の常宿          遊子(新年)
  花の春夢は果てなく膨らみぬ     メロン(新年花)
   全快近し主治医告げ来て       ゆき(雑)
  キスマーク嬉し恥づかし戻り道     遥夢(恋)
   太くて赤い糸を離さず        遊子(恋)
  モダンジャズ流れる床屋月覗く    炬燵猫(月)
                       (秋)
右                      (秋)

皆様の付句
日輪を追うて夕月かたぶける      遊子(月)
*ある意味、恋離れを思わせる月の句、手練れさを感じます。

ぬばたまの月夜烏がよろめいて     縁糸(月)
*「ぬばたま」は「月」「夜」にかかる枕詞で、「黒・暗」を強調しますが、そのために上句の五音を消費する意味合いが分かりません。「月夜烏」は夜遊びに浮かれ出る人の喩えという意味が含まれているので、明確に「コロナ禍に月夜烏がよろめいて」とでもすれば、句が息をし始めると思います。しかし、「月夜烏」は季語ではなく、月の句にはならないですね。

十三夜愛でて酒酌む漢あり       今日(月)
*「夜」字が、左八句目に既出でした。「酒」も中六句目に出ていますね。

満月に小さな自分噛みしめて      甚碌(月)
*「満月に」だと大雑把な感じがするので、「月円か小さな自分噛みしめて」と表現すれば、月との対等感が出ると思います。

彷徨へり隈なき月の夜を独り      ゆき(月)
*「孤独感」はよいとしても、打越に「戻り道」があるので、「彷徨う」のは障りますね。

満月の夜に蠢くものはだれ       遥夢(月)
*「満月の夜に蠢くものあまた」と、答えを先に出してみればどうでしょう。句が広がると思いますが。

名月を拝してよりの走り込み     メロン(月)
*基礎体力作りと「名月」との取合せ、何か強い願いと言うか、目標意識を強く感じました。

天竺の兎は月にゐるといふ      しをん(月)
*「天竺」はインドの呼称ですが、「兎」との結びつきが私は寡聞にして存じません。因みに「天竺鼠」はモルモットのことですね。

月今宵佳境に入るミステリー      秋草(月)
*「ミステリー」か「モダンジャズ」か悩んだ句です。読書は一人で楽しむという点が、ネックになりました。

モダンジャズ流れる床屋月覗く    炬燵猫(月)
*この句をこのいただきました。