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#67844
光明
ゲスト

インターネット連句
 伊予の湯桁「琴の会」の巻
6月30日
 お待たせしました。右六句目は春の短句をお願いしましたところ、この巻も残り少なくなってきたということもあってか、10句集まりました。
 それぞれの句が、漸く春の季節になった、解放感に浸るぞ、という春の気分に満ちた句が揃ったと思います。
 それらの句の中から、ここはしをんさんの句「幼きものの陽炎を追ふ」を、より向日性を強めるために「幼きものら」と複数形にし、続く「陽炎を追ふ」を「陽炎を追ひ」と、終止形ではなく連用にして、動きを強調する修正を加えて採りました。子供に好奇心があればこそ、ヒトと宇宙という不思議の解明への力に、やがては結び付くのでしょうから。

 右七句目は花の句をお詠み下さい。春の正花です。
 この巻も残り3句になりました。

 基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。月・花以外は一語一会とします。

 右七句目の締切りを7月2日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   伊予の湯桁「琴の会」   2021.05.04起首

左 初袷たをやかに座す琴の会      メロン(夏)
   風の調べに揺るる葉桜        光明(夏)
  夏燕空を自在に遊ぶらん        遥夢(夏)
   仕事帰りにフィットネスジム    炬燵猫(雑)
  金色の手作りジャムを購うて      秋草(雑)
   路面電車が見せる町並み        芳(雑)
  月中天魚も眠る水族館         ゆき(月)
   お独りさまの集ひ夜長に      しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し       芳(秋)
   のそりと歩く若冲の象       炬燵猫(雑)
  ほの一字背(そびら)になぞり頬を染め 今日(恋)
   疑惑の後妻じつは世話焼き      日和(恋)
  媾曳の浜辺に寄せる黒い波       遊子(恋)
   寝酒の友に誘ふあやかし       秋草(冬)
  浄土にも有りや冬月ちちははよ    しをん(冬月)
   柚子湯の柚子をギュッと抱きしめ  炬燵猫(冬)
  定跡を踏まへた上の詰将棋       日和(雑)
   蓬莱飾る京の常宿          遊子(新年)
  花の春夢は果てなく膨らみぬ     メロン(新年花)
   全快近し主治医告げ来て       ゆき(雑)
  キスマーク嬉し恥づかし戻り道     遥夢(恋)
   太くて赤い糸を離さず        遊子(恋)
  モダンジャズ流れる床屋月覗く    炬燵猫(月)
   夕餉の膳に香る栗飯         ゆき(秋)
右 またたびを家苞にして猫の旅      遥夢(秋)
   足引つかかる破れジーンズ      秋草(雑)
  梅雨晴の物干し竿は満員に        芳(夏)
   ラムネ飲みつつビッグ・バン思ふ   揺子(夏)
  笑はせるアインシュタインあつかんべ  遊子(雑)
   幼きものら陽炎を追ひ       しをん(春)
                       (花)
                       (春)
                       (雑)

皆様の付句
のびおおあくび山も目覚めて      縁糸(春)
*残念ながら春の季語が詠まれておりません。「のびおおあくび山も笑うて」とすればオッケーでした。

吾子をあやして一時のどかに      閑坐(春)
*「子」と「一」字が既出です。季語の「のどかに」が「子をあやす」とマッチしていないと思います。「ややをあやして過す麗日」とすれば、言いたいことは伝わりますね。

納税期なり脱税は駄目         遊子(春)
*扱い難い季語に挑戦していただきました。

幼きものの陽炎を追ふ        しをん(春)
*「幼きものら陽炎を追ひ」としていただきました。

いたづら好きの犬の畑打        甚碌(春)
*「犬」が「畑打」をするという取り合わせが面白いですね。

ふらここに掛けしばし安らぐ      秋草(春)
*動から静に「ふらここ」を表現しようとした意欲は買いますが、物足りなさを覚えました。

大和心を懐く弥生野         メロン(春)
*「アインシュタイン」に「大和心」で対するという発想は、疎句の極みと言えますが、案外通じるものがあるとも思えます。

庭に戯る蝶は気まぐれ         ゆき(春)
*「蝶は気まぐれ」は言い得て妙だと思います。

坂のぼりきて霞はるかに        揺子(春)
*少しあっさりしすぎの感ありですね。

蝶々ひらひら渡る吊橋        炬燵猫(春)
*「吊橋」は知と知を結び付ける象徴とも言えますね。でも蝶々は自在に飛び越えてゆくのです。