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インターネット連句
十三仏行「爆心地」の巻
9月3日
ウ三句目は冬の句で雪を詠み込んでいただきました。三好龍肝氏が、日本の自然に基づく美意識の発露である雪月花の内、連句では月の座、花の座があるのに、雪の座が無いのは片手落ちであるとして、この形式に盛り込まれ、皆様にお詠みいただきました。
ここまで恋句が続きました。つまり人事が主な句が詠まれてきましたので、このあたりで景の句が求められるというのが、自然な判断だと思います。そこで、しをんさんの「雪に明るき招き看板」を採りましたが、銀世界とも言われる雪に「明るき」は言わずもがななので、白黒の妙である「雪に墨痕」を明確にし、「雪に鮮やか招き看板」と修正させていただきました。背景には歌舞伎の世界の華やかさも垣間見えて、雪の座が品よく熟されたと思います。
次はウ四句目です。冬の月を仮名留めで詠んでいただきます。天象が続き、工夫が必要な付けになるかと存じます。頑張ってください。
なお、基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。
次のウ四句目の締切りを9月5日の20時とします。揮ってご投句ください。
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十三仏行「爆心地」 2021.08.15起首
表 人の世の遺恨ふたつの爆心地 光明(秋)
願ひの糸に結ぶ折り鶴 ゆき(秋)
望月夜幼きパンダ健やかに 遊子(月)
写真館にはおめかしをして 炬燵猫(雑)
祭笛吹く横顔に惚れなほす 遥夢(夏恋)
裏 木下闇で熱く抱かれ 秋草(夏恋)
嬉し泣きそつと搔き揚ぐ解れ髪 今日(恋)
雪に鮮やか招き看板 しをん(冬雪)
(冬月)
(雑)
(春)
(春)
挙句 (花)
皆様の付句
雪片白し無罪判決 遊子(冬雪)
*「雪の白と無罪」という設定は面白いですが、前句を引き摺った、情愛絡みの冤罪事件として読まれてしまう可能性もありますね。
初雪踏んで老いのお散歩 今日(冬雪)
*老いてもなお幼い頃の、雪への戯れ心が失われていないという、細やかな喜びを感させる句になりました。
雪に明るき招き看板 しをん(冬雪)
*この句を「雪に鮮やか招き看板」と修正していただきました。
雪に五弁の猫の足跡 遥夢(冬雪)
*「猫の足跡」と言ってしまったら身も蓋もないので、思わせぶりに「雪に五弁の肉球の跡」とすればどうでしょう。第三に生類のパンダが出ています。中国では熊猫ですね。学術的にはクマ科とされています。古くは下駄の跡が有名ですね。それを猫にしたのは現代的だと思います。
笠に降り積む雪に訪ふ 揺子(冬雪)
*「笠地蔵」という昔話がありますね。それには明確なストーリーがありますが、この句では誰がどこに訪うのかが、よく分からないのが気になります。
風花当てにチビリチビリと 秋草(冬雪)
*「雪見酒」の砕けた表現ですね。動きが見えてきます。
雪女にも母性目覚める 芳(冬雪)
*雪女はそれぞれの地方によって、さまざまな形で現れるとされています。美女、老婆、童子などの姿であり、母でもあるとしたのがこの句ですね。説得力を感じました。
手酌に沁みる除雪車の音 炬燵猫(冬雪)
*これは現代的な雪中酒と読むべきでしょうか。独自な感性に魅かれます。