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#69091
光明
ゲスト

インターネット連句
 十三仏行「爆心地」の巻
9月3日
 ウ三句目は冬の句で雪を詠み込んでいただきました。三好龍肝氏が、日本の自然に基づく美意識の発露である雪月花の内、連句では月の座、花の座があるのに、雪の座が無いのは片手落ちであるとして、この形式に盛り込まれ、皆様にお詠みいただきました。
 ここまで恋句が続きました。つまり人事が主な句が詠まれてきましたので、このあたりで景の句が求められるというのが、自然な判断だと思います。そこで、しをんさんの「雪に明るき招き看板」を採りましたが、銀世界とも言われる雪に「明るき」は言わずもがななので、白黒の妙である「雪に墨痕」を明確にし、「雪に鮮やか招き看板」と修正させていただきました。背景には歌舞伎の世界の華やかさも垣間見えて、雪の座が品よく熟されたと思います。

 次はウ四句目です。冬の月を仮名留めで詠んでいただきます。天象が続き、工夫が必要な付けになるかと存じます。頑張ってください。

 なお、基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。
 次のウ四句目の締切りを9月5日の20時とします。揮ってご投句ください。

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    十三仏行「爆心地」   2021.08.15起首

表  人の世の遺恨ふたつの爆心地     光明(秋)
    願ひの糸に結ぶ折り鶴       ゆき(秋)
   望月夜幼きパンダ健やかに      遊子(月)
    写真館にはおめかしをして    炬燵猫(雑)
   祭笛吹く横顔に惚れなほす      遥夢(夏恋)
裏   木下闇で熱く抱かれ        秋草(夏恋)
   嬉し泣きそつと搔き揚ぐ解れ髪    今日(恋)
    雪に鮮やか招き看板       しをん(冬雪)
                       (冬月)
                       (雑)
                       (春)
                       (春)
挙句                     (花)

皆様の付句
雪片白し無罪判決          遊子(冬雪)
*「雪の白と無罪」という設定は面白いですが、前句を引き摺った、情愛絡みの冤罪事件として読まれてしまう可能性もありますね。

初雪踏んで老いのお散歩       今日(冬雪)
*老いてもなお幼い頃の、雪への戯れ心が失われていないという、細やかな喜びを感させる句になりました。

雪に明るき招き看板        しをん(冬雪)
*この句を「雪に鮮やか招き看板」と修正していただきました。

雪に五弁の猫の足跡         遥夢(冬雪)
*「猫の足跡」と言ってしまったら身も蓋もないので、思わせぶりに「雪に五弁の肉球の跡」とすればどうでしょう。第三に生類のパンダが出ています。中国では熊猫ですね。学術的にはクマ科とされています。古くは下駄の跡が有名ですね。それを猫にしたのは現代的だと思います。

笠に降り積む雪に訪ふ        揺子(冬雪)
*「笠地蔵」という昔話がありますね。それには明確なストーリーがありますが、この句では誰がどこに訪うのかが、よく分からないのが気になります。

風花当てにチビリチビリと      秋草(冬雪)
*「雪見酒」の砕けた表現ですね。動きが見えてきます。

雪女にも母性目覚める         芳(冬雪)
*雪女はそれぞれの地方によって、さまざまな形で現れるとされています。美女、老婆、童子などの姿であり、母でもあるとしたのがこの句ですね。説得力を感じました。

手酌に沁みる除雪車の音      炬燵猫(冬雪)
*これは現代的な雪中酒と読むべきでしょうか。独自な感性に魅かれます。