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■(1)世吉「笹舟に」ナウ1治定
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(1)世吉「笹舟に」 2017.9.15 起首
笹舟に乗せゆく酒(ささ)や小鳥来る 雀羅
秋の灯点る老舗割烹 鮎並
月白の墨に膠を含ませて 紅鯨 月・秋
初心者ゆえの芸の細かさ 麦子
夫らはケーキ作りに挑戦し 絵(かい)
長寿の家系百歳の笑み りえ
掛軸のくだかけの尾の垂れさがり 鮎
浦風に知るけふのつゆ明け 羅
ウ
もてなしのグリーンサラダにパセリ摘む 紅
客は未来の舅姑 え
てのひらに波濤図愛づる山の寺 麻里
妖怪絵巻夢に魘(うな)され 今日
伏せている二人の中のすきま風 絵
水に流るるオフィリアの帯 紅
満ち満ちてまぶしき月の今いくつ 小石 月・秋
悩みの底に落ちるかなかな 百花
秋空へ組体操の立ち上がり 鮎
擦り傷なんかツバで治るよ 鞠鈴
あっけらかん大正昭和生き抜いて いばら
雨降らぬ日もゴム長を召し 紅
漕ぎながら落花をうける掌(たなごころ) 日 花・春
木橋の杭に掛かる切れ凧 鈴
ナオ
うらうらと春暮れてゆく大工町 田助
丸いポストに葉っぱ投函 麦
いつまでも母の御筆を待ち焦がれ 日
船首のフィギュア琴を抱いて 紅
伝説を神話にかへて日の名残り 小
ひきこもりにも取材依頼が 羅
捨てられぬ犬の匂いのする毛布 麦
小屋から坊やコタツから小火(ぼや) 鮎
どてら着て高等遊民気取る爺 鈴
網手袋の女近づく 晴
ひたひたと満月目指す蟻の道 太郎
しのび笑いは苔の羅漢か 小
木枯しにお百度踏んでいる素足 晴
母は子を思(も)い子は母を恋い 麦
ナウ
真夜中の真綿に湿す除光液 健
深き海より揚がる仏像 麦
メモワール港の見える丘に佇ち 紅
○「水飲みの鳥のおもちゃの不思議解く 浅草太郎」、面白い句で、どこか生かしようはないかなと
いう気にさせますが、「仏像」句から離れてしまっている感じです。ただどこか、打越の「真綿に湿
す除光液」に通うところもあります。「パステルの重ね塗りから疑惑わき 小石」、これも生かした
い感じの句ですが、湖から揚がる「仏像」に「パステル」はちょっと違和感あるし、やはり打越の
「真綿に湿す除光液」に通じる雰囲気もっているようです。治定句が一番収まりいいようです。
ではどうぞ。雑でも、夏でも。