■⑤歌仙「ポケットの」6治定
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⑤歌仙「ポケットの」 2018.6.2 起首
ポケットの中に景色や更衣 雀羅
卯波を蔵うコインロッカー 桃
大陸に版画の行方追ひかけて 小波
丘にのぼれば街の灯が見え 田助
町をあげ歌へ踊れの月の宴 富士
背中に眠る児へは秋風 晴
ウ
○「最終列車を濡らす夜霧よ」はムードありますね。ただ打越の「街の灯」から「夜霧」まで三句夜分が続きますので(夜分三句続いてもよいという作法書もあるにはありますが)、夜分の句数は『十七季』557pの「句数去嫌」の整理にありますように二句が妥当と思います。「開けた窓から入る秋の蚊」も、前句と付句人物の位置関係に変化があります。治定句は、「月の宴」と距離感のある情景描写が面白いと思います。
どうぞ。秋の長句です。