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■⑪歌仙「浅春の」ナウ3治定 2019.3.3 起首
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鬼怒鳴門氏に
浅春の過客閲(ケミ)する月日かな 雀羅
書棚に馨る梅の一輪 摩悠
名残雪虹色の夢手に受けて あげは
彼方の空に煙上れる 不映
有明の水脈(みお)を曳きゆく漁舟(イサナブネ) 田助 月・秋
曲げわっぱには零余子飯詰め は
ウ
花野ゆくをさなごを追ふ母であり しをん
をんなはぶたぬアメリカの兵 羅
オムレツのフォークに残る赤い紅 うに
寄せ書きしたる色紙黄ばんで は
古書市に浄瑠璃本を見つけたる 紫
父のめがねの似合う麦秋 小石
夕焼雲ヨガ教室は高階に に
ショートパンツで月を迎える 映 月・夏
奥さまは魔女いっしゅんでピッカピカ 安庵
ともだちの輪が世間さわがせ は
一山のひかりを集め花吹雪 ん
針魚のにぎり信楽に映え 庵
ナオ
焙炉場(ホイロバ)にあねさんかぶりしてた姉 映
胸の揺らぎは渋い声から は
閉まるドア共に押さえて乗った人 映
浜通りには潮の香があり 羅
わざはひを希望に変へて立つ石碑 は
井戸の茶碗を志の輔で聴く 石
尻尾から鯛焼き食べる律儀者 映
帳場箪笥に冬日射し入り ん
適温になればおしえる電子音 は
路面電車のがたんごとごと に
土手の上(へ)に雲引きつれる月現(あ)れて 映
まるくまあるく冷ゆる陵(みささぎ) に
ナウ
プリペアド・ピアノに飾る吾亦紅 羅
羊のむれを森に吸いこみ 庵
七人の小人に出会い還る母 映
○不映さんの原句は「七人の小人に出会ふ夢をみて」。「七人の小人に出会ふ」ということ自体が夢のような話ですのでここは「夢」の字を使わない方がよいですね。決め言葉は惜しみつつ使う、です。「だって、ほんとに見たんだもん」というお母さんにしてみたらどうでしょう。神隠しは子どもに起きますが、わらし帰りしたおかあさんにもありそうです。わたしたちも早晩こうなりますが、こうして連句できてる間はだいじょうぶですので、せっせと付句をお願いします(^^)
「欝の字は書けないけれど変換す しをん」、「鬱」は才能のあるがんばり屋さんがなりやすいそうです。忙しい変換作業が見えるうようです。前句の「森に吸い込み」の奇妙な気分にからんでいきますね。
「映画祭トロフィーどれも手作りで あげは」、森の中の映画祭、わくわくします。「手作りトロフィー」がいいですね。
「話より菓子に引かれた紙芝居 不映」、「森に吸い込み」からグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」の話に。
「レムの畑に小鳥囀る うに」、「レム」って何だろう、、イスラエルのレムか、レム睡眠のレムか・・・。こんなところに引っかかります。謎めいた言葉を使ってみるというのも連句の時空を拡がるアイテムですので、捌きの理解力などソンタクせずどしどし出して下さい。前句短句ですのでこんどは長句です。次からは「たけくらべ」と言いますね(^^)
安庵さん、ジョン・ケージのプリペアド・ピアノに「グランドピアノの羊の群れに、金属の針葉樹林が覆いかぶさるような・・」とは凄い表現!
いよいよ花前になりました。どうぞ。春でも雑でも。