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#49131
雀羅
ゲスト

米字「風鈴を」           2019.7.13 起首
 
風鈴を見てゐる猫の夕かな           桃太郎
 ほたるぶくろに灯(トモシ)入る頃         雀羅
咳払影絵の舞台整ひて              うに
 空気読まない派手な着信            芳
九時五時をしっかり守り窓際に          笑女
 八枚切りのパンは売り切れ            に
なで肩の影をふみふみ小望月           安庵 月・秋
 へちまを下げる宗匠の路地             桃

さわやかにキャッチボールの捕球音         芳
 牛若丸は甲子園かも             しをん
恩師への弔辞を諳んじてをりぬ            閑坐
 花に雪ふる昼の邂逅               羅 花・春
佐保姫はお菓子のように化粧して           桃
 髪をバッサリ切って卒業              坐
半刻をいけない人と蛍舟               女
 夏の霜にはゆため息が溶け             庵 月・夏
ペン先のインク固まる文机              芳
 金運上げる風水に凝り               桃
あの頃も今も聞く耳もたぬ父             女
石垣崩すガジュマルの木は            上里
二オ
床の間に人形をおく初景色              羅
 膳のさびしき雨の正月              庵
おとづれはメトロノームの鳴りてより         に
 目覚めた猫の手足のびやか            小石
くたびれた営業マンのいるベンチ          芳
 今は昔の孟母三遷                を
針金の家を出てゆく鴉の仔             羅
  夕べの虹をひとは見届け             に
端とはじ耳にあてれば水の音             庵
 湖畔と犬と若き女性と              坐
明日からのシニア講座に上り月           を 月・秋
 ホームの底にすだくがちゃがちゃ         坐
三オ
露寒の故郷に住む人のこと              桃
 縁談十組纏めると言う               を
痛い目にあえば分かるさ本気度が           女
 白村江からずっとこのかた             羅
穫れすぎた茄子の料理を四品ほど           に
  昼寝起こすな走り書く紙             芳
馬肥えてお仙ころがる秋(とき)を待つ       庵

○安庵さんの原句は「馬は肥えお仙言葉を二つ三つ」ですが、「お仙」というと笠森お仙、房州のお仙ころがしと思いつきますが、ここは後者にして治定句のようでどうでしょう。強欲なおとっあんを諫める決心をしてしまったのですね。

次は秋です。