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#55453
光明
ゲスト

インターネット連句
ソネット「花火船」(交叉韻)
7月16日
 皆様、おまたせしました。10句目は新年の短句です。脚韻は自由ということで、葉っぱさんのように苦手な方からも投句していただき、12句集まりました。ここで問題は、f韻は合計3回使用されるということです。そのためには使用することができる数の多い言葉を用いる必要があります。句の内容と脚韻の言葉数との兼ね合いが問題になりました。
 結果、それらの点を考慮して安庵さんの「破魔矢の鈴がはねる石段」を採りました。初詣そのものを描かず、「石段」で神社を思わせ、「破魔矢の鈴」を響かせることで新年を感じさせてくれるという、とても技能的な句です。
 次の11句目は雑の句です。脚韻はe韻の「どり」になります。
 前回同様、歌仙式の縛りは無く仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。但し一句内なら可。
 それでは、11句目の締切りを7月18日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   ソネット「花火船」(交叉韻)   2020.06.29起首

1  花火船屋号半分消えかかり       安庵(夏花)a
2   蕩児いまだに波乗に暮れ       光明(夏)b
3  力学の基礎を学んだ発条秤     マリンバ(雑)a
4   米搗き飛蝗早よ捕つとくれ      今日(秋)b

5  名月に草の戸そつと訪ね来て      秋草(月)c
6   思ひの丈を競ふコスモス       小石(秋恋)d
7  恋敵抜駆け無しといふ掟       メロン(恋)c
8   甘く切ない古日記燃す         芳(冬恋)d

9  今生は夢のつづきか浮寝鳥      しをん(冬)e
10  破魔矢の鈴がはねる石段       安庵(新年)f
11                      (雑)e

12                      (春)f
13                      (春)e
14                      (春)f

皆様の付句
初東雲に柏手を打ち        今日(新年)f
*「東雲」は雲の有無には関係なく明け方の空を云います。それに「初」が付くことで元日の朝に限定され、めでたさが増します。そこには初日も上り、拍手を打つという淑気が描かれた句になりました。

鞴始の親父畏み         葉っぱ(新年)f
*「鞴」を使う職種の人にとって、欠かせない新年の仕事始めのセレモニー。その緊張感が伝わってきます。「畏み」が重たいですね。

破魔矢の鈴がはねる石段      安庵(新年)f
*この句をいただきます。視覚と音感が刺激されました。

春着の姉妹御守りを買ひ     すみれ(新年)f
*「御守り」は概ね干支で選別されるようですが、姉妹がそれぞれ違ったお守りを手にする様子が描かれています。春着を着ての御守りの購入に意味があるのでしょうね。

初風はこぶ産土の杜        小石(新年)f
*「初風」は元日に吹く風を云いますが、それ以外に秋の初風の意味もあります。そのために取合せの言葉が意味を持ってきます。ここでは「産土の杜」と詠まれていますが、「産土」の中にはすでに「杜」も含まれていると私は考えます。

初神籤引き当てる大吉       ゆき(新年)f
*「御神籤」は当てるものではなくて、吉凶を占うものだと思います。当てたいという思いはよく分かりますが。

大きく胡坐し掛かる綯初    マリンバ(新年)f
*「綯初」は縄を綯う、正月の農事の儀式ですね。「禍福は糾える縄の如し」ということわざがありますが、その縄を綯うことはある意味吉凶を占うことにもなるのかも知れませんね。「大きく胡坐し」に実感があります。

五臓六腑に染みる初鐘       秋草(新年)f
*「五臓六腑に沁みる」が常套語過ぎますね。「初鐘」を活かす言葉を見つける努力が求められます。思い付きでいいんですから。

酒を匂はせ獅子舞の口        芳(新年)f
*その前のシーン、口に一升瓶が突っ込まれている様子が目に浮かびます。ご祝儀も口で受けますからね。とてもリアルな表現になりました。

初手前とて帯は西陣        遥夢(新年)f
*「西陣」織りの帯の高級感が伝わります。こういう句もありですが、難は脚韻が「ぢん」になることでした。

若水汲むは喜寿の父なり     しをん(新年)f
*年男となる七十七歳のお父様、めでたさが重なりましたね。

大皿に盛る美しき数の子     炬燵猫(新年)f
*数の子の筋取りが好きでした。沢山食べられるものではないですが、縁起物としては有力なもの。結局は孵化することを拒まれた魚卵なんですね。