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#57635
光明
ゲスト

インターネット連句
 重伍・二十五句「一輪の紅」 25句目 挙句
9月15日
 皆様、おまたせしました。8名の方が挙句を寄せていただき、その中から、旬の御馳走を詠まれた芳さんの「旬の味破籠に詰めて春日和」を、「春」字が既出ということで、「山笑ふ破籠に詰めし旬の味」に修正して採りました。
これでめでたく満尾となりました。

 今回の「重伍」形式、ひと月半に亘る興行にお付き合いいただきました連衆の皆様の、初めての形式にとまどいながらも満尾まで、たくさんの候補句をお詠みくださった労力に、こころより感謝申しあげます。本当にありがとうございました。

 この巻も含めて昨年より私が担当し、満尾となりました作品を日本連句協会報に掲載する準備を進めております。早くて12月号からになると思います。その際には、改めて紙上での作品世界をお楽しみください。
 
 さて、皆様に楽しんでいただける次の形式はと、迷っています。今月中にはスタートしたいと思います。それまで、すこし、お待ちください。
                               梅村光明

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   重伍・二十五句「一輪の紅」  2020.08.01起首 09.15満尾

1  初萩の一輪の紅愛しむかな      メロン(秋)
2   夢路抜け出し潜む邯鄲        光明(秋)
3  名月に稚児は上手に正座して     すみれ(月)「児」
4   将棋教室賑はひを見せ         芳(雑)
5  評判の御膳汁粉を注文す        ゆき(雑)「御」

6   村に伝はるかつぱ伝説        遥夢(雑)
7  淋しさはいづこへ剥かむ冬林檎    しをん(冬)「檎」
8   誰が編んだか彼のセーター      秋草(冬恋)
9  語塞がり涙ながるるプロポーズ     安庵(恋)「語」
10  壕の入り口未来受け入れ       今日(恋)

11 田遊びの振舞酒でご機嫌に       遥夢(新年)「ご」
12  大間のマグロ今年競り勝つ       芳(新年)
13 鐘の音を遠くに聞いて術後の夜     安庵(雑)「後」
14  思ひがけない春の雪降る      すみれ(春)
15 門付けの瞽女の挿したる藪つばき    ゆき(春)「瞽」

16  木の芽峠を越えし蝶々       しをん(春)
17 消しゴムで作る落款旅便り       秋草(雑)「ゴ」
18  まだ覚えてる校歌ハミング      小石(雑)
19 五十階ペントハウスの月涼し     炬燵猫(夏月)「五」
20  裸足に痛き人工の芝         小石(夏)

21 アンカーのテープ切りたる牛蒡ぬき   ゆき(雑)「牛」
22  ゆらりふはりと熱気球飛ぶ      秋草(雑)
23 爺と婆介護しあつて花を待つ     すみれ(花)「護」
24  猫の子じやるる噺家の露地     しをん(春)
25 山笑ふ破籠に詰めし旬の味        芳(春)「籠」

皆様の付句
駄目打たれ頭を掻いて長閑な碁     閑坐(春)「碁」
*閑坐さん、お久し振りです。ご投句ありがとうございます。さて、この句は長閑なる囲碁を詠まれていますが、4句目に将棋教室が詠まれているので、一巻25句中に、囲碁も将棋も入れるのはすこし窮屈な感じがします。

あたたけし呉汁の甘き香の流る     秋草(春)「呉」
*「あたたけし」が「呉汁」に懸かる読みがされる余地があるかと思います。それと、一句一章句としておおらかな句柄になる反面、やや間延びする感じもします。それは前句の「露地」に「香の流る」と続いているからとも言えますね。

厨には旬の醍醐味夏近し       すみれ(春)「醐」
*この句も旬の御馳走を詠まれていますが、気になるのは「厨」という場所を出したことで、「噺家」の自宅の「厨」と限定される読みになる恐れです。いわゆる挙句の働きが軽くなるということです。

呉も越もなべて舟旅のどらかに    しをん(春)「呉」
*「越」字が既出だとさっき気付きました。呉越同舟の故事を踏まえた、大きな句柄に魅かれます。

覚悟などできぬこの身も春うらら    遥夢(春)「悟」
*「春」字が使えませんので、「覚悟などできぬこの身も風光る」とすればどうでしょう。私は瞬間にする覚悟と、時間を掛けて養う覚悟があるように思います。

竹籠に沙蚕(ごかい)蠢く汐干狩    今日(春)「沙」
*「蠢く」が、挙句の枠を越えて次に続く感じを与えるように思います。

下戸も居て漏斗(じょうご)も揃ふ宵朧 ゆき(春)「斗」
*私、昔は上戸でしたが、今は下戸になってしまいました。酒に関して似た言い方に、「左党」があります。「左利き」のことで、大工さんが「鑿」(のみ)を
持つのは左手、つまり「飲み手」ということです。この句残念ですが、11句目に「振舞酒」がありました。

旬の味破籠(わりご)に詰めて春日和   芳(春)「籠」
*この句を「山笑ふ破籠に詰めし旬の味」に修正していただきます。