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#58259
光明
ゲスト

インターネット連句
 鳳蝶「仏蘭西の友」  
10月17日
 皆様、お待たせしました。中1句目を恋の呼び出し句になればいいなと書きましたが、ここで「恋の呼び出し句」について説明をしておきましょう。東明雅著の『連句入門』によると、「恋を示唆するような作意のある句を恋の呼び出しと言い、恋の前句に付けると恋になる」とされ、『三冊子』では「前句が恋とも、恋でないとも決めにくいような句である時は、必ず恋の句を付けて、前句ともに恋にすべきである」と記されています。つまり、前句の作者が明確な恋句として句を詠まなかった場合の対応として、付句での応え方によっては、両句ともに恋句になったりならなかったりするというわけです。その場合の前句を「恋の呼び出し句」と言います。
 そこで、中1句目への10句の候補句から上記に該当する句を選び出したのが、安庵さんの「箸置きは清水焼の色違ひ」です。「色違ひ」から対の物(恋人同士、あるいは夫婦の食器)のイメージが広がります。次の付け句によって恋句になるかどうか、楽しみですね。

それでは、中2句目は恋の短句をお詠みください。

 今回の形式「鳳蝶」には表・裏はございませんが、基本的な式目は歌仙式に倣って進めたいと思います。なお仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
 それでは、中2句目の締切りを10月19日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   鳳蝶「仏蘭西の友」  2020.10.02起首

右 名月や声懐かしき長電話         芳(月)
   葡萄酒醸す仏蘭西の友        光明(秋)
  蔦紅葉城壁朱く彩りて         秋草(秋)
   眼鏡はづして合はすフォーカス    小石(雑)
  あやとりの川がたちまち山となり   しをん(雑)
   風通りくる湯屋の籐椅子      炬燵猫(夏)
  熱帯魚横目にヨガの猫ポーズ     しをん(夏)
   がつつり飯のレシピ定まる      遊子(雑)

中 箸置きは清水焼の色違ひ        安庵(雑)
                       (恋)
                       (恋)
                       (恋)

左                      (冬)
                       (冬)
                       (雑)
                       (新年)
                       (雑)
                       (春)
                       (花)
                       (春)

皆様の付句
いつもより少し濃いめの化粧して   すみれ(雑)
*芭蕉以前の貞門俳諧では恋の詞(ことば)が定められており、その俳諧恋の詞を用いさえすれば恋の句になるとされています。それらの言葉の中に「化粧」も含まれていますので、この句は恋の句とされてしまいます。

我儘で不束ですが自慢の娘       遊子(雑)
*お笑い芸人の坂田利夫が妹の結婚相手の家族に、「ふつつかな妹ですがよろしく」と言うところを、「ふしだらな妹ですが」と言ったというエピソードがありますが、この句もそんなユーモアを感じさせるものがありますね。

隠れ家のカフェが好みと囁いて    しをん(雑)
*「隠れ家カフェ」を密かに拵えていたり、拵えたいと考えている人が、昨今は増えているように思われます。自分の欲する「居場所」というアイテムが必須な社会状況なんでしょうね。コロナ以前から。

箸置きは清水焼の色違ひ        安庵(雑)
*この句をいただきます。強く主張しない箸置きはいい目の付け所だと思います。

お土産はミンサー織りの細き帯     ゆき(雑)
*沖縄の婚姻習慣として、藍染織の細帯を婚約の印として女性から男性に贈るとされています。ということからも、この句はまさに恋の呼び出し句と言えますね。

彼帰る修行の成果携へて        遥夢(雑)
*ふたりの夢の実現に向けた第一歩でしょうか、はっきり料理人と決めつけさせない詠みようがいいですね。

妹の口さがなさは姉譲り       炬燵猫(雑)
*「青は藍より出でて藍より青し」という、「出藍の誉れ」をこの姉妹に捧げたいと思います。

鬢づけの香る背中の悠々と        芳(雑)
*力士を詠まれていると思いますので、ここははっきり「背中の隆々と」した方が、句が生きるのではないでしょうか。

渡されし一つの鍵を持て余す      秋草(雑)
*これだけだと、会社での責任が生じたとも読めますね。「渡されしふたりの鍵を持て余す」とすればどうでしょう。

買物も女子力はかる男の目       閑坐(雑)
*買い物上手という言葉がありますが、それを人物の評価に当て嵌めることはあまりされないと思います。ここでの「女子力」をどう捉えるかがこの句の気になるところです。「男の目」というのも上から目線ですね。