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インターネット連句
鳳蝶「仏蘭西の友」
10月25日
皆様、お待たせしました。左1句目の冬月に11句の投句がありました。この形式の特徴として蝶の句を一句、四季いずれかで詠むことになっています。すでに秋と夏では詠まれず、残りの冬か春かという選択肢のある中、冬蝶を詠まれた句が、4句ありました。捌きとしてはオーソドックスに春の蝶が佳いかなと思っていましたが、冬蝶の生きる環境の過酷さが詩になると考え、その4句の内のすみれさんの句、「凍蝶は優しき月に見守られ」を採ります。「月」の見守りの、その先に「弥陀のてのひら」が見えました。
次の、左2句目は冬の短句をお詠みください。
今回の形式「鳳蝶」には表・裏はございませんが、基本的な式目は歌仙式に倣って進めたいと思います。なお仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は一語一会です。
それでは、左2句目の締切りを10月27日の20時とします。揮ってご投句ください。
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鳳蝶「仏蘭西の友」 2020.10.02起首
右 名月や声懐かしき長電話 芳(月)
葡萄酒醸す仏蘭西の友 光明(秋)
蔦紅葉城壁朱く彩りて 秋草(秋)
眼鏡はづして合はすフォーカス 小石(雑)
あやとりの川がたちまち山となり しをん(雑)
風通りくる湯屋の籐椅子 炬燵猫(夏)
熱帯魚横目にヨガの猫ポーズ しをん(夏)
がつつり飯のレシピ定まる 遊子(雑)
中 箸置きは清水焼の色違ひ 安庵(恋)
切符二枚を予約する夢 ゆき(恋)
シューマンの余韻に浸る初デート 遥夢(恋)
そつと触れたる弥陀のてのひら 遊子(雑)
左 凍蝶は優しき月に見守られ すみれ(冬月)
(冬)
(雑)
(新年)
(雑)
(春)
(花)
(春)
皆様の付句
凍蝶は優しき月に見守られ すみれ(冬月)
*この句をいただきます。
駆け抜ける筋斗雲に冴ゆる月 閑坐(冬月)
*前句からお釈迦様の掌のエピソードを想われ、孫悟空に結び付いたようで、発想の飛躍が面白いと思いました。惜しいのは、「冴ゆる月」という冬の月を合す必然性が弱いということですね。
たましひを月に吸はせて蝶凍つる 遊子(冬月)
*凍つる理由は蝶の魂を月が吸い取るから、という発想の意外性に良質なメルヘンを感じます。
傷ついた凍蝶の翅癒す月 芳(冬月)
*「傷ついた」まで言ってしまうと、健気な「凍蝶」のイメージの拡散が進み、月の句なのに賞翫する意が薄くなり、主役ではなくなってしまいますね。あくまでも冬月をメインに置く必要があります。
時雨月座敷わらしも寒かろか 秋草(冬月)
*この「時雨月」は時候の「神無月」の傍題なので、天象の月にはなりません。選択を間違えられたようです。それと、「寒かろ」も冬季と言えるので、季重なりになってしまいますね。
寒林を抜けて有情をはこぶ月 小石(冬月)
*「有情」とは、心情を持つあらゆる生きものと解されるので、月がそれを運ぶという意味が、伝わりません。作者には別の解釈が有るのかも知れませんが、「有情」という単語の果たす働きには必ず限界があると思います。
梟の狩り見やる月村はづれ ゆき(冬月)
*ここで「村はづれ」は必要か必要でないかと言えば不必要です。「梟の狩り」と、それを見守る「月」の関係性だけで句は成立します。あくまでも月の賞翫の意を保たなければならないのです。「梟の狩りを見遣るは眉の月」としましょう。
静かなる月下の眠り冬の蝶 遥夢(冬月)
*月下に安息を求める「冬の蝶」の擬人化とも読めますね。イメージが湧き、絵になります。
月冴ゆと川の流れに乗りてあり しをん(冬月)
*「月冴ゆる川の流れも煌めきて」と、推敲してみました。
かんじきの跡点々と月照らす 炬燵猫(冬月)
*「かんじき」は雪の上を歩く道具で、この句では人の歩行の跡を表わしていますが、事件か事故かその先に起こっている事、あるいは起った事をいろいろと想像させて面白い句です。
氷輪に明日の道を照らされて 安庵(月)
*この「氷輪」は月の異名として用いられますが、その際にはあくまでも秋の月としてです。「氷」が冬季と思わせますが、それは氷の反射性に月のイメージを重ね、比喩的に用いているだけなのです。