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インターネット連句
本宝塚「雪螢」の巻
12月23日
皆様おまたせしました。星の連の六句目は恋の長句で八句集まりました。
芭蕉以前の俳諧では連歌時代から続く恋の詞があり、それを用いればこの句になりました。それに対して蕉門では恋の詞があっても、その句に恋の意や情がなければ恋句にはならず、恋の詞が無くても恋の意や情を読み取ることができれば、恋の句になるとされてきました。
しかし、それが望ましくとも、現実には現代の恋の言葉を詠み込んだだけの恋句も多いように思われます。ある意味、理想と現実のギャップとも言えるのではないでしょうか。そのギャップを埋める営みが我が連句生活となっております。
というところで、星の連の六句目は、芳さんの「白無垢のお色直しはチマチョゴリ」の句を採りました。「嫁入り」は恋の詞とされていますが、それと同様の「白無垢のお色直し」を用いて、恋の結果を描いた恋句となっています。そこまでは普通ですが、ここでは韓国朝鮮の民族衣装である「チマチョゴリ」を「お色直し」に着るという展開に、多様性のある恋が浮かび上がりました。因みに私の連句歴に於いて、「チマチョゴリ」という語句は付句として初めての出会いです。芳さんはこれで三句目ですが、採らざるを得ない句でした。
星の連最後の七句目は、雑の短句をお詠み下さい。
「宝塚」には表・裏はございませんが、基本的な式目は歌仙式に倣って進めたいと思います。なお仮名遣いは歴史的仮名遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので現代仮名遣いでも結構です。また、同字は月・花以外は一語一会です。
それでは、星の連七句目の締切りを12月25日の20時とします。揮ってご投句ください。
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本宝塚「雪螢」 2020.12.01起首
雪の連
行く先を風に任せて雪蛍 芳(冬) 雪
紫キャベツサラダ彩り 光明(冬)
君笑めば凍てる心も溶くるらん 遥夢(冬恋)
在宅ワーク募る逢ひたさ 炬燵猫(恋)
センサーで手水オン・オフ初社 日和(新年)
毬杖打ちの村は賑はひ マリンバ(新年)
笛太鼓東京音頭繰返し 晋山(雑)
星の連
とんび輪を描く原つぱの上 秋草(雑)
日焼した顔も晴れやかバイク旅 すみれ(夏)
負けん気を出すラムネ早飲み 芳(夏)
夏星のひとつ二人の星と決め ゆき(夏恋) 星
季の移ろひに歩み揃はず メロン(恋)
白無垢のお色直しはチマチョゴリ 芳(恋)
(雑)
月の連
(秋)
(秋)
(月) 月
皆様の付句
哀しくも彼の若さのおぼつかな 遊子(恋)
*前前句「二人」があって、前句「歩み揃はず」ときて、「哀しくも彼の若さのおぼつかな」となれば、三句がらみと言わざるを得ない感があります。
デュエットの微かに洩るる地下酒場 しをん(恋)
*わたくしなら「銀座の恋の物語」がデュエットの定番ですが、この句の曲名はどうでしょう。「地下酒場」にはジャズっぽさを感じます。恋句としては「デュエット」だけでは弱いかも。現代の「恋の詞」になりうるかどうか、課題にしたいと思います。
面影をグラスに溶かしギムレット ゆき(恋)
*飲酒の句は望ましいのですが、ここは三句目に「ラムネ早飲み」があり、飲食の大打越(間に二句挟んだ場合)になりますね。
白無垢のお色直しはチマチョゴリ 芳(恋)
*この句をいただきます。
不覚にも切れてしまつた赤い糸 すみれ(恋)
*「赤い糸」は恋句でも人気のある言葉ですね。多くの恋句が詠まれてきました。あえて挑戦することはとても大事なことだと思います。この句のポイントは「不覚にも切れて」ですね。謡曲の一節のごとく、痛恨の極みとも言える無念さが伝わります。
合鍵と謎を残して去りし女(ひと) 遥夢(恋)
*恋の破綻を「合鍵」で描きました。興味深いシチュエーションを想像させる句になっています。
徒情け別れ間際の冷めたる目 晋山(恋)
*「徒情け」と「別れ間際」と「冷めたる目」と、流れのやや切れ気味の句になっています。情況は「別れ間際」と規定したところで、「徒情け」と「冷めたる目」が、どう結び付くのか、単に言葉が並んだという感じが否めません。無理に別れる必要はないので、「徒情け見透かすやうな冷めたる目」としましょう。
涙顔隠し見送る夜の駅 秋草(恋)
*遠距離恋愛のワンシーンですね。「見送る」が当然過ぎて惜しい感じがあります。といっても、代わりの言葉はすぐには思いつかないのですが。