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#67068
光明
ゲスト

インターネット連句
 伊予の湯桁「琴の会」の巻
5月26日
 お待たせしました。中での最後の恋句になる五句目です。様々な恋句が9句集まりました。元より人情句である恋句、どの句も男女の心の縺れ合いがたっぷりと描かれました。
 その中から、松本清張風の黒のイメージを生かした、遊子さんの「媾曳の浜辺に寄せる黒い波」を採りました。清純な恋とはほど遠い、ドロドロ感たっぷりな恋句もあっていいと思います。

 中六句目は冬の短句をお詠み下さい。月前の句になります。

 基本的な式目は歌仙式に倣って進めることとします。仮名遣いはいつも通り、歴史的かな遣いとさせていただきます。不馴れな方はこちらで直しますので、現代仮名遣いでも結構です。同字は月・花以外は一語一会とします。

 中六句目の締切りを28日の20時とします。揮ってご投句ください。

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   伊予の湯桁「琴の会」   2021.05.04起首

左 初袷たをやかに座す琴の会      メロン(夏)
   風の調べに揺るる葉桜        光明(夏)
  夏燕空を自在に遊ぶらん        遥夢(夏)
   仕事帰りにフィットネスジム    炬燵猫(雑)
  金色の手作りジャムを購うて      秋草(雑)
   路面電車が見せる町並み        芳(雑)
  月中天魚も眠る水族館         ゆき(月)
   お独りさまの集ひ夜長に      しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し       芳(秋)
   のそりと歩く若冲の象       炬燵猫(雑)
  ほの一字背(そびら)になぞり頬を染め 今日(恋)
   疑惑の後妻じつは世話焼き      日和(恋)
  媾曳の浜辺に寄せる黒い波       遊子(恋)
                       (冬)
                       (冬月)
                       (冬)
                       (雑)
                       (新年)
                       (新年花)

皆様の付句
年上の情の深さに絆されて        縁糸(恋)
*前句の「後妻」の年齢上の人物像の説明だけで、転じが出来ていないのが気になります。

わりなきは夫婦心中姑(はは)ゆゑに  しをん(恋)
*岸恵子の本のタイトルの「わりなき恋」をふと思いました。「恋」なら分かりますが、夫婦心中自体が、すでにわりなきことなのではないでしょうか。心中の具体的なディテールとして、姑を含む三角関係とも読めてしまう曖昧さが気になります。

媾曳の浜辺に寄せる黒い波        遊子(恋)
*この句をいただきます。

住職の説教賑はふ男振り         ゆき(恋)
*瀬戸内寂聴さんをイメージします。人物描写に重きを置いており、恋句としては弱いですね。

ハート型散りばめてあるお弁当       芳(恋)
*物を効果的に用いる恋の表現は支持しますが、畢竟、ステレオタイプな表現に終わってしまい易い点に、特に注意する必要があると思います。

焼きもちも可愛いものと余裕見せ     遥夢(恋)
*誰が「余裕を見せ」ているのか、焼かせた人物なのか、すぐには判断できませんでした。どういった「余裕」なのかも、分かり難さの要因になっていますね。

かりそめの手枕と知り泣き明かす     秋草(恋)
*「手枕」には元々、仮初のものという含みがあると思います。でも、うぶな人には分からなかったんでしょうね。

忘れてた過去の恋文整然と        甚碌(恋)
*「整然と」とは、どういうシチュエーションなのか分からない点が、読みを深めさせない障害になっています。「忘れてた過去の恋文披露され」「忘れてた過去の恋文眼前に」とすれば、状況が目に浮かびますね。

密を避け縁切寺へ駆け込めば      炬燵猫(恋)
*「縁切寺」は面白いのですが、今どきの「密」を使えば句が軽くなってしまいますね。