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#68019
光明
ゲスト

インターネット連句
 伊予の湯桁「琴の会」の巻
7月7日
 お待たせしました。5月の初旬にスタートし、2か月を経て挙句に至りました。長いようでもあり、短かくあっという間でもあった、そんな2か月でした。
 そして挙句は雑の長句という、普通の形式では詠まれることの無い挙句になりました。これは「伊予の湯桁」形式の創案者である宝井其角の面目躍如とも言えるところでしょう。
 そんな挙句の候補句が9句集まりました。その中から一巻の最後を締めるに相応しい句として、遊子さんの「健やかな微睡のまま本閉づる」を採りました。この「琴の会」の巻自体が、微睡の中で見た「一炊の夢」、つまり短い時間に見た夢であったという読みの出来る句であるということ、その創造性の広がりの面白さに尽きると思います。
 今回の2か月間に亘る連句興行にご参加いただいた方々、またご覧いただいた方々に厚くお礼を申し上げます。さらに連衆となられた方にはお疲れさまでしたと、労いの言葉を捧げたいと存じます。
 今回、句が採られることのなかった方も、これに懲りずさらに次回への挑戦をされることを期待して止みません。
 みなさま、少しお休みをいただいて、さらに新たな形式を楽しみたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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   伊予の湯桁「琴の会」   2021.05.04起首 2021.07.07満尾

左 初袷たをやかに座す琴の会      メロン(夏)
   風の調べに揺るる葉桜        光明(夏)
  夏燕空を自在に遊ぶらん        遥夢(夏)
   仕事帰りにフィットネスジム    炬燵猫(雑)
  金色の手作りジャムを購うて      秋草(雑)
   路面電車が見せる町並み        芳(雑)
  月中天魚も眠る水族館         ゆき(月)
   お独りさまの集ひ夜長に      しをん(秋)
中 地芝居の台詞合はせは白熱し       芳(秋)
   のそりと歩く若冲の象       炬燵猫(雑)
  ほの一字背(そびら)になぞり頬を染め 今日(恋)
   疑惑の後妻じつは世話焼き      日和(恋)
  媾曳の浜辺に寄せる黒い波       遊子(恋)
   寝酒の友に誘ふあやかし       秋草(冬)
  浄土にも有りや冬月ちちははよ    しをん(冬月)
   柚子湯の柚子をギュッと抱きしめ  炬燵猫(冬)
  定跡を踏まへた上の詰将棋       日和(雑)
   蓬莱飾る京の常宿          遊子(新年)
  花の春夢は果てなく膨らみぬ     メロン(新年花)
   全快近し主治医告げ来て       ゆき(雑)
  キスマーク嬉し恥づかし戻り道     遥夢(恋)
   太くて赤い糸を離さず        遊子(恋)
  モダンジャズ流れる床屋月覗く    炬燵猫(月)
   夕餉の膳に香る栗飯         ゆき(秋)
右 またたびを家苞にして猫の旅      遥夢(秋)
   足引つかかる破れジーンズ      秋草(雑)
  梅雨晴の物干し竿は満員に        芳(夏)
   ラムネ飲みつつビッグ・バン思ふ   揺子(夏)
  笑はせるアインシュタインあつかんべ  遊子(雑)
   幼きものら陽炎を追ひ       しをん(春)
  山裾に懐深き花大樹          日和(花)
   リアル俳席終始のどらか       光明(春)
  健やかな微睡のまま本閉づる      遊子(雑)

皆様の付句
短冊に歌をしたため筆を置く      縁糸(雑)
*前句に「俳席」、つまり連句会が詠まれ、そこに「短冊」を付けると、前句を補う要素が強くて「付き過ぎ」ということになります。「筆を擱く」は挙句らしくて、採りたくなった言葉です。

健やかな微睡のまま本閉づる      遊子(雑)
*一炊の夢にも通じる、この句をいただきました。

まどろみの耳をくすぐる鳥のこゑ     遥夢(雑)
*この句も採りたくなったのですが、「鳥のこゑ」が春の季語「囀り」と同意語になり、折角の雑の挙句の狙いから外れてしまうことになるので、見送りました。

お隣へもぎたて野菜おすそ分け    炬燵猫(雑)
*「もぎたての野菜隣のおすそ分け」と逆にしてもいいですね。挙句としては終息感がやや弱いかな。

この街の我も仲間と鴉啼く      しをん(雑)
*「この我も仲間なんだと鴉啼く」と、「街」は外した方が明解になります。

おもむろに墨痕淋漓したためぬ     揺子(雑)
*「墨痕淋漓」という四字熟語を書くのか、「墨痕淋漓」とした文字を書くのか、いまひとつ分かりにくいですね。

カレンダー丸で囲みて定位置に      芳(雑)
*残念ですが「定」字が既出でした。「定位置」の意味が捉えにくいように思います。

温泉を巡るツアーを申し込む      秋草(雑)
*「申し込む」だと次につながり、挙句感が薄れますので、「温泉を巡るツアーは売切れて」としましょう。

横丁は昭和の浪漫そのままに      日和(雑)
*この句も付きますが、「横丁は昭和浪漫をそのままに」と、リズムよくしましょうか。