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■(1)世吉「笹舟に」ウ14
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(1)世吉「笹舟に」 2017.9.15 起首
笹舟に乗せゆく酒(ささ)や小鳥来る 雀羅
秋の灯点る老舗割烹 鮎並
月白の墨に膠を含ませて 紅鯨 月・秋
初心者ゆえの芸の細かさ 麦子
夫らはケーキ作りに挑戦し 絵(かい)
長寿の家系百歳の笑み りえ
掛軸のくだかけの尾の垂れさがり 鮎
浦風に知るけふのつゆ明け 羅
ウ
もてなしのグリーンサラダにパセリ摘む 紅
客は未来の舅姑 え
てのひらに波濤図愛づる山の寺 麻里
妖怪絵巻夢に魘(うな)され 今日
伏せている二人の中のすきま風 絵
水に流るるオフィリアの帯 紅
満ち満ちてまぶしき月の今いくつ 小石 月・秋
悩みの底に落ちるかなかな 百花
秋空へ組体操の立ち上がり 鮎
擦り傷なんかツバで治るよ 鞠鈴
あっけらかん大正昭和生き抜いて いばら
雨降らぬ日もゴム長を召し 紅
漕ぎながら落花をうける掌(たなごころ) 日
木橋の杭に掛かる切れ凧 鈴
ナオ
○打越と付く「漕ぎながら」は自転車を漕いでいるところ、「木橋」句が付いた「漕ぎながら」は小舟に乗っている場面。連句でいう「転じの面白さ」というのはこういうエッシャーの反転図形みたいな錯視構造を言うわけですね。鞠鈴さん、はたらきを持った付けです。
これで世吉の半分が終わりました。次も春の句でどうぞ。長句です。