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#69316
光明
ゲスト

インターネット連句
 十三仏行「爆心地」の巻
9月13日
 この十三仏行形式を創案された三好龍肝氏は、1924年(大正13年)生まれ、明治大学文学部卒、文学部修士課程修了。都心連句会主宰の清水瓢左氏の門下で、宗匠号の松好軒を允許(いんきょ)されています。自らは慈眼舎連句会を主宰、和漢連句を実践して、その継承者となる赤田玖實子氏を育てましたが、すでにご両人ともお亡くなりになられています。
 著書に『真言密教 霊雲寺派文献解題』(国書刊行会)。『俳諧評話 蕉風連句の道』。『蕉風連句の原点 十三仏行を創る』以上(縁地社刊)。共著に『連句研究 作法論と現代の連句百巻』(国書刊行会)などがあります。

 挙句は花の句の長句をお願いしました。挙句に長句を詠むという形式はそれほど多くはなく、実際に体験することは無いでしょうし、その上に花の句というのは本当に稀なことだと思います。その挙句を8人の方が挑戦し、お詠みくださいました。
 花の句で締めにするのなら花を前面に打ち出した句が相応しいと考え、9句の中から一山花に染まる景を詠んだ、遊子さんと閑坐さんの句がそれに適っていると判断し、その二句から選んだのが閑坐さんの句です。咲いて散る、花の一過性の中に永遠を見出した「花の山紅に染まりし永遠のもの」です。これを推敲して「花の山染まりし色の永遠なれと」と修正して採りました。

 これで、十三仏行「爆心地」の巻は満尾となりました。短い形式でしたが、お楽しみいただけたことと思います。三好氏がこの形式を創った意図をお汲み取りくだされば幸いです。

 次回も短い形式をと考えています。どうかご期待ください。それまで少しお時間をいただき、準備に務めたいと存じます。有難うございました。

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    十三仏行「爆心地」   2021.08.15起首 09.13満尾

表  人の世の遺恨ふたつの爆心地     光明(秋)
    願ひの糸に結ぶ折り鶴       ゆき(秋)
   望月夜幼きパンダ健やかに      遊子(月)
    写真館にはおめかしをして    炬燵猫(雑)
   祭笛吹く横顔に惚れなほす      遥夢(夏恋)
裏   木下闇で熱く抱かれ        秋草(夏恋)
   嬉し泣きそつと搔き揚ぐ解れ髪    今日(恋)
    雪に鮮やか招き看板       しをん(冬雪)
   立飲みの小銭並べて月凍つる      芳(冬月)
    駐在さんがひよいと声掛け    メロン(雑)
   逆打ちの遍路賑はふ閏年       日和(春)
    観潮船は渦に順服         遊子(春)
挙句 花の山染まりし色の永遠に      閑坐(花)

皆様の付句
花満ちて一山白く泛(うか)びたり  遊子(花)

花筏割つて着岸拍手湧く       今日(花)
*観潮船を引き摺ってしまいました。ここの主役は「花」にして頂きたいですね。

花時に御衣黄の紅濃くなりぬ     日和(花)
*挙句なので、花を一品種に限定するのは冒険ですね。

花吹雪歓声あげて駆け出さん     秋草(花)
*「雪」字が既出でした。

花の山紅に染まりし永遠のもの    閑坐(花)
*この句をいただきましたが、「花の山染まりし色の永遠に」と修正しました。

飛花落花露座の仏の肩に背に     遥夢(花)
*打越の「遍路」と「露座仏」が差し合います。

大関の化粧廻しに花溢れ      炬燵猫(花)
*この句は悩ましいものがあります。雑の正花に「絵の花」というのがあり、化粧まわしの「刺繍の花」はこれにあたると思います。なので、春の句にはならないということです。因みに、「相撲」は秋の季語なので、「大関」もこれに該当することになります。つまり秋の正花ですね。

み吉野を花また花とたづねゆき   しをん(花)
*「み吉野を花また花とたづねゆく」でしょうか。地名が出ていないので、いいアイデアです。ただし、打越の「遍路」と「たづね行く」ものの差合いになりますね。