平成三十年度
日本連句協会総会・全国連句大会の記

今年は花が例年になく早い。三月の半ばを過ぎると、東京の花は一斉に満開となった。隅田川河岸も浅草寺もすっかり花の中にある。そんな中、三月二十五日(日)、浅草の台東区民会館で開かれた平成三十年度総会並びに全国連句大会集まったのは日本連句協会の会員の方々である。総会には八十六名、連句大会には八十五名、懇親会には六十一名の方々が全国より参集した。

総会は十一時に予定通り開会された。第一号議案平成二十九年度事業報告及び同年度決算報告、第二号議案平成三十年度事業計画案及び同年度予算案の二つの議案が粛々と審議され、全会一致をもって承認された。平成三十年度は協会の活性化と効率化を目指し、理事全員が何らかの担当を持ち、連句の普及と会員の利便性の向上や協会の充実発展のため活動し成果を挙げること、このための必要な経費は積極的に支出し、費用の重点的効率的運営を図ることが高らかに宣言された。

予定されていた議事が滞りなく済み、俳句結社「かびれ」の主宰である大竹多可志先生の「連句に学ぶ俳句」と題された講演に移る。豊富な俳句の経験からみた連句の本質を、小松崎爽青編『孤愁連句集』のあとがきを引用され、「連句の象徴的性格は、無限に深く広い文学性において、個人的より社会的性格を包蔵しており、(中略)俳諧の精神は個人的ならざる一座連衆の人々の間に醸し出される精神の中にあるといひ得る」とズバリ言い当てる。「連句人は俳句を、俳人は連句をしよう。次世代に日本の文化の伝統を伝えよう」と講演を締めくくられた。

閉会前に各地の行事の報告や案内がそれぞれの担当の方々よりなされた。(「第三十二回奈良国文祭の報告」、「大分国文祭の案内」、「西日本連句を楽しむ会の案内」、「第十二回宮城県連句大会のご案内」「京都府連句協会五山送り火連句大会」、「兼載忌連句大会の案内」、「第三十七回伊東温泉俳句まつりの案内」)

昼食をはさみながら、四五名の座での連句実作会となる。名前だけ知っているが会ったことが無い人、数年ぶりであう人、そんな人たちと顔を合わせることができるのが総会後の全国連句大会の席である。あちこちで歓声が上がる、笑いが起こる。この日巻いた作品は会報の「連句」に順次掲載される。

場所を台東区区民館内の「精養軒」に移し懇親会が始まる。付句にひねった脳が美味しいビールに溶け出す。酔いが進むと連句で高まったテンションがまた一段と弾ける。窓を通して見る夕暮れの浅草の街も楽しいし、浅草寺の夕桜も一段と美しい。皆さん、また来年もお会いしましょう。

(松澤龍一記)

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