浪速の芭蕉祭随聞記 令和5年10月8日開催

林 転石

今回初めて浪速の芭蕉祭に参加することとなった。

前日は、ひとり吟行と称して大阪城を訪れた。大阪城は石山本願寺があった上町台地の上に太閤秀吉が構築した未曽有の規模の城である。ただし現在ある建物は昭和の戦災の後、再建されたものである。内堀の辺から見ても天守の最上階はかなり上空にそびえており、壁面の黒地の黄金の虎の姿は安土桃山時代のありし日の豪華を偲ばせている。

 その後、天神橋筋商店街に足を向ける。ここは大阪市北区にある南北2.6キロに及ぶ日本一長い商店街で、道の両側に様々な商店と居酒屋が並んでいる。あまりに通りが長いのでもとへ戻ってくるのが困難になるかと思われて、程よい所の居酒屋の暖簾をくぐり一献を傾けた。

 会場の大阪天満宮は同社縁起によれば白雉の頃に祀られていた大将軍神社を基として、天歴3年に村上天皇が創建したもので祭神は菅原道真である。

当日はやや小雨が降る天候であったが七五三の参詣の親子が数多く見られた。昇殿して参拝、連句の振興と本日の興行成就を祈願した。東京の亀戸天神も菅原道真を祭神とするものであるが境内に存置された撫牛が両社に共通するものの、神主が払う幣束は大阪が稲穂、東京は紙幣と異なり、ことに大阪天満宮の内陣での巫女の舞は亀戸では見られない雅で印象的なものであった。

 引続き小池正博氏による「連句ブームの行方-現代連句の四十年」の講演があった。連句復興期に尽力した根津芦丈、清水飄左、東明雅、野村牛耳、わだとしお、阿片飄郎、大林杣平などの各氏の活動への言及、連句著作の「艸上の虹」(都心連句会)「むれ鯨」(同上)「夏の日」(東明雅)「現代連句入門」(山地春眠子)「連句入門」(東明雅)「連句恋々」(矢崎藍)などの紹介とその評価が説明された。また1992年9月に開催された現代連句シンポジウムでの出席者の発言内容も述べられた。特に、現在の連句人口の減少傾向につき対応策をいかにすべきかとのテーマについて小池氏の考え、参加者からの発言もあり大いに傾聴するところがあった。

 実作会は参加者18名が三座にわかれて興行、大阪の地域の初めてお会いする方もおられて歓談となり大いに楽しい時間となった。

                                                                                                                        以 上